「街道をゆく・長州路」②「しあわせます」

6月17日の続き、

司馬遼太郎さんの「街道をゆく・長州路」のなかから、私も何かしら感じるところがあるふるさとの長州人を表した部分を何回かに分けて抜粋していく。

『ーーー山口県というのは自然がまろやかで、気候は温和であり、お行儀や言葉づかいの品のよさというのは日本のどの県よりもよく、一県に、なお武家の気品というものが地熱のようにして残っている。

このことは長州へ行ってきたというひとからよくきくし、げんに農家のひとたちのあいだにもそれが濃厚にのこっていて、目のさめるような驚きをもたされることが多い。

私の親戚の者のまだ若い嫁が山口県出身なのだが、私などに対してもおにいさまと、きちんと「さん」でなく「さま」を発音する。ナニナニですといわず、ごく自然に、ございます、という。吉田松陰についてはどういう知識もないのだが、吉田松陰先生と敬称をつける。ーーーーーー』

🔘のっけからお国自慢になってしまっているが、武家の気品が地熱のように農家にも残っているというのは、私もふるさとを離れての実感として持っている。

中国地方8か国120万石を領した毛利氏は関ヶ原の敗戦で防長2国(周防国長門国・現在の山口県)36万石に押し込められた。
その際大リストラが行われ多数の武士が召し放ちになったが、その中には百姓身分になっても毛利家に付いて防長2国(現在山口県)に定住したものも多く、これらが村の指導層を担うことになる歴史があった。
このことは後年の幕末期、藩を挙げての攘夷倒幕運動の下地にもなっている。

🔘山口県地方の方言で「しあわせます」という言葉がある。意味は「嬉しいです」「有り難いです」「助かります」「便利で重宝します」といったことになるが、実際に母親や母方の祖母がよく使っていた記憶もある。
最近山口県在住の同級生からのLINEにもこの言葉があり、今でもそのまま活きているのを実感して嬉しかった。

この方言が「おいでませ」等々も含め、何か司馬遼太郎さんの文章の裏付けとも思えてならないのだが。

🔘だいぶ以前のことになるが2020年5月13日~17日にかけて3回このブログに書いた、水沢耶奈著「ゆかりの人びと・山陽道厚狭の町」築地書館刊 にはこのような方言の数々が実際に使われる形でふんだんに出てきて子供時代にかえったような気になる。

🔘朝の公園、小鳥がエサをあさっている。多分地中の虫を狙っているのだろう。