「シルクロード~仏の道をゆく」

安部龍太郎著「シルクロード~仏の道をゆく」潮出版社刊を読み終えた。
たまたま新聞に紹介記事が載っており近くの図書館に予約して借り出した。
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日経新聞に連載されていた伊集院 静さんの「ミチクサ先生」の終わりが近付いた辺りで次の連載は安部龍太郎さんが遣唐使をテーマにした「ふりさけ見れば」だと言う紹介文が頭の隅にあったせいかも知れない。

安部龍太郎さんが前回、約10年前に同じ日経新聞に連載された「等伯(とうはく)」は安土桃山時代を中心に活躍した絵師・長谷川等伯を描いたもので連載中から殆んど毎日読んだ面白く読みごたえのある奥深いと感じた小説で、案の定連載後の刊行で直木賞を受賞された。

この本の第一部がシルクロードの東部に当たる西安、蘭州、敦煌(とんこう)までのいわゆる「河西回廊(かせいかいろう)」の旅の記事、第二部が西域と呼ばれる新疆(しんきょう)ウイグル自治区の「天山南路(てんざんなんろ)」ウルムチトルファン、クチャ、カシュガルまでの旅である。

これらを旅しながら地域の歴史、特に隋や唐の時代に想いを馳せ、2人の仏教者の足跡をたどる。
大乗仏教の伝道者・鳩摩羅什(くまらじゅう)
・インドで修行、仏典を持ち帰った玄奘三蔵(げんじょうさんぞう・三蔵法師)

私自身は無宗教無信心だと思っているが母親が熱心な浄土真宗門徒であった事もあり仏教の成り立ちや宗派の違いなどには興味がある。

この本のなかで安部さんを現地で案内する中国人の王さんが語った言葉
「現代では仏教といえば個人的な信仰と考え勝ちですが、この頃の仏教は政治理念に近いものだったはずです。その理念を多くの人が支持したために、時の権力者も国を治めるために仏教を取り込んだと思います」

隋や唐の時代の中国や西域の国々を語っているのだが、日本の歴史に照らしても深い説得力がある。

◎近くの団地の花壇、夏の花・カンナ
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