「暗がりで本を読む」

徳永圭子著「暗がりで本を読む」本の雑誌社刊 を読み終えた。初めて聞いた著者名だが、大型書店・丸善に勤務の書店員さんで今話題の「本屋大賞」に関わったり「本の雑誌」や新聞で書評やコラムを書いておられるようで、これが初めての本になるらしい。
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本好き、書店員、の立場から本や書店のエッセイ、好きな本の書評などを集めたもので題名から根暗(ネクラ)の独り言のようなエッセイを想像してしまうが、内容はそうでもなくどうも本を愛する気持ちがたまたま題名のような響きになってしまったようである。

〈本棚一冊分の隙間〉と名付けた章の一節

「お金や時間を本に費やす理由はさまざまで、不可解な世の中を何とかして理解するために、行き場のない思いを解き放つために。手に職を、おいしいものを、健康をという求めもあれば、ただの暇つぶしや、ただただ読まずにいられぬひとも。ーーーーー

恐れているのは、誰もが長い文章を読まなくなること。書かなくなること。それが気づかないうちに進むことだ。店員がそこまで考えても仕方がないけれど、つい思う。ーーーーー

会話にならなくてもお客様が棚から本を抜き取った隙間を見つけては、そこにあった一冊のことを思い浮かべてみる。本が売れることは嬉しいが、隙間に傷跡を見てしまうこともある」

☆本という他の商品とは少し違うものと、真摯に向き合い考えている書店員の方が、確かに居られることが良く理解できる。

☆それはさておきこの本を読んでふと思ったのだが、、、私は何のために、またなぜ、今までたくさんの本を読んできたのだろう。仕事で必要に迫られ読んで調べたものを別にすると、絶対に読まなければならない本など多分一冊もなかったはずなのに。

☆ひとつの答えとしては「無用の用」かとも思えるが、やはり面白いからだろうか、いや面白くないのも読んでいる。よく分からないままこれからも本を読み続けるのだろう。

☆いま思うと私の身体と心の何分の1くらいかは、本で出来ているような気がする。

タンポポの毛がまるまると。
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道端のこれは図鑑を見るとカモジクサと思われる。
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