「日本一静かで笑顔あふれるカフェ」

NHKTVのドキュメント番組「目撃にっぽん」は時折驚くような事を掘り下げたり、深く考えさせられるテーマが出てきたりして、注目番組として頭の中に入れている。

今回の題は「日本一静かで笑顔あふれるカフェ」で、てっきり私も好きな「山や森で営むコーヒショップ」だろうと期待して録画したが、鑑賞しはじめてこの予測が完全に間違いであった事を思い知ったが、内容自体は本当に素晴らしいものだった。

この題はカフェチェーン・スターバックスが東京のJR国立駅構内に去年6月開業した、スタッフの8割が聴覚障害者で主なコミュニケーションを手話でやり取りする店の特徴を表したものだと番組を見ているうちに分かってきた。

この店の発端はスターバックスの障害者枠求人に応募して就職した聴覚障害者の女性が、2年後そのやる気が認められるなかで役員に「聴覚障害者だけのカフェをやりたい」と申し出たことにあるらしい。

手始めに既存の店で実際に聴覚障害者でテスト的にオペレーションをし、出来ることを証明し会社として「GO」サインになったようだ。

この番組を見た後スターバックスのホームページを見てみると、会社では障害が理由で何らかのサポートが必要なパートナー(従業員)を支援するプログラムを策定し、トレーニングツールやサポートツールの提供、勤務時間など働き方の調整、コーチング制度などが運用され、既に350名を超える障害のある従業員が勤務されているとの事で、私の知らないところで社会がどんどん進んでいるのを実感した。

映像を見ていると手話のみではなくこれをサポートするため、タブレットによる注文や映像表示装置、記号化など色々な工夫やツールが店内全体に導入されている。

従業員が笑顔一杯に懸命に接客する様子、お客がこの笑顔に引かれて常連になり従業員とコミュニケーションが成立する様子、聴覚に障害がある両親が同じ聴覚障害者で従業員として働く息子が本当に接客業ができるのか、心配になり様子見に来て安心する姿、等々不覚にも何度も涙が出てしまった。

この店を作るきっかけになった従業員の方が「聞こえないという障害があると接客の仕事は無理というイメージ、私はその壁を壊したい」と手話で話した。

営利の店を運営することは表面上のきれいごとだけでは済まない色々な課題が日夜有ると思われるが、ぜひ乗り越えていってほしいと思わずに居られない。

◎雑草の中から小さな花が顔を出している。
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