タイの反政府集会報道に思う

7月以降断続的に続いているタイの反政府集会で最近、王室の改革を求める声が出ているとの報道に接している。
現役時代タイに駐在していた時に見聞きしたことや、その延長でタイの政治・経済に興味を持ち続けている立場からすると
「とうとうそこまで来たか」と言う思いで少々驚いている。

以前からタイの政治のなかでは軍を含む既得権益層とこれに不信感を抱く農民や新興層との間で揺れ動いており、最近では2014年のクーデター以降軍主導の政治が継続している。

タイでは前国王の時代が長く続き、その行動に対する国民の敬愛の念は、外国人の私から見ても圧倒的であったが、先の代替りで現国王が即位され情況に変化が生じたのかもしれない。

タイでは王室や軍が想像以上に経済的な基盤を築いており、また税制も日本などと比べるとはるかに既得権益層側に有利になっており、これらが永年の政治的対立の火種になっている。

また、タイでは戦前の日本と同じく王室に対する不敬罪があり王室の事を議論すること自体憚られる雰囲気が存在し、私も食事の席でたまたま王室の普通の事を話題にしたところ現地の人に止められた事がある。
昨今のニュースではこの受け止め方に少しずつ変化の芽が出てきていると思われる。

過去政治的対立のなかで軍が出てくる事を何回か見てきたが、その際最後の調停者としていつも前国王の存在が有ったような気がする。
今回の王室改革と言う国の根本に関わる、今までに無いスローガンが掲げられている状況で、調停者が無いまま落としどころは見つかるのだろうか。
混乱が続くと結び付きの強い日本経済にも影響が出る可能性がある。

近くの団地入り口で咲いている花
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