「明智光秀の生涯」

織田・豊臣時代に関する著作を中心に活動されている諏訪勝則著「明智光秀の生涯」吉川弘文館・歴史文化ライブラリーを読み終えた。
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NHK大河ドラマの影響で最近この明智光秀が色々なところで取り上げられているが、私個人としては例年発生する大河ドラマブームには距離を置きたい方で、ドラマと史実がごちゃ混ぜになってしまうことを懸念しているのだが、つい図書館の入り口にわざわざ置かれている図書館司書の方の手口に乗ってしまった気がする。

詳しい中身はさておき、やはり興味の的は戦国時代の謎の一つ「光秀はなぜ本能寺の変を引き起こしたか」に集約されるが、著者は史料に基づき光秀の生涯や事績を踏まえて、巻末の「本能寺の変の要因」及び「エピローグ~名立たる衝撃的な事件・本能寺の変」で次のように結論付けしている。

①よく言われる朝廷や将軍家による黒幕説はあり得ない。ーーこれは私も全く同意見。
②暗殺の機会は偶然にもたらされた「ワンチャンス」で計画性などはなく戦国武将の論理で実行された行為の範疇になる。
ーー今の倫理観で当時の事を推し測っては為らない事に同感。
③当時の信長の光秀に対する見方として
・光秀の実力の限界に伴う不要論(仕事を終えた人間はいらないと思う気持ち)。
・実力を蓄えた明智家を脅威と捉え排除すべきものと考えた。
光秀はこれら信長の意向を充分察知し、明智家の行く末をも含めて考えた上でチャンスに懸けて決起した。
ーー信長の古い家臣への仕打ち等、過去の行動を観ると共感するところ大。

何れにせよ光秀は賭けに出た、然し光秀が賭けに出た時点はあらゆる史料が示すように追い込まれた状態にあった。
私が学んだ歴史上の事例を見ると、追い込まれて賭けに出て勝てるケースはほとんど無い、賭けは昇り調子の時にやるべき事と言える。

本能寺の変は当事者が直ぐに死亡したため非常に内実が解りにくくなっているが、今私が月一回通っている笠谷和比古教授の講座でも取り上げられている。更に今後も新史料が出てくる可能性もあり興味は続く。

今日も朝から日差しがきついです。歩きの途中にある開場時間前の市営テニス場と、そこに咲いている木の花。
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