作家塩野七生さんと高校生の対話

正月に放送された番組を選択録画して順次見ているのだがその中に近年で一番熱中して2度見した番組がある。

作家塩野七生さんがあるきっかけから学習院高等部の学生約100名と対話授業をした記録、NHKEテレ「2000年を生きる・塩野七生と高校生の対話」である。

塩野さんは広く知られるように15年にわたって書き続けられた「ローマ人の物語」を始めヨーロッパの歴史を40年以上翻訳でなく日本語で表現し続け、内外で数々の受賞と共に評価も高い女流作家で82歳、外から見た辛辣な日本への提言などでも知られ若き日から現在までイタリア在住である。

塩野本愛読者の私にとって一々言葉が重く、全体を書き残すことは難しいがその中でもこれはと思ったポイントを記録しておくことにした。

・将来役に立つと思われる唯一のことは「免疫」をつけること。人生短い中で免疫を得るため経験を積む事には限りがあるが教養を身に付けることで代わりとなる、その為には本を読む事。
また、挫折や壁にぶち当たるのは若い内に慣れておく、それが免疫につながる。

・ものの見方として複眼的なことが必要。鳥(上から)と虫(下から)の視点を持つ。鳥瞰と言うと小鳥になってしまうがイタリア語では「鷹の視点」と言う。

・一番嫌いなことは狂信的になってしまうこと。

・若い時にこれからやりたいことなど分かるはずがない。40にして惑わず-40才迄は迷って当たり前、50にして天命を知る-これしかないと50才で見極める。
先ず山に登ってみる、登ったら次の山が見えてくる。

ギリシャ語で危機のことをクライシスと言うが同時に蘇生と言う意味もある。(危機は蘇生のチャンス)常に語源に戻れ。

・正しいことは何なのかと考えると出口が無くなる。見苦しいまねはしないことは規範になる。

◎若い人にこれだけの事が言えるのは自分の仕事への自信から来ているのだろう、脱帽。