大阪の地盤沈下と淀屋橋北の傾斜道

頭の劣化防止のため大阪中之島にある朝日新聞社のカルチャーセンターに定期的に通っている。大阪の人であれば大体の土地勘で分かってもらえると思うが、地下鉄の御堂筋線淀屋橋駅で降り、淀屋橋南詰めから淀屋橋を北へ渡り、渡ったところを左折して日銀大阪支店の前を通り土佐堀川を左手に見て朝日新聞社のあるフェスティバルタワーに至る、言わば大阪の中心部に当たる。

この淀屋橋を北へ渡り左折する角の道は遊歩道にそぐわず斜めに落ち込んでおり雨の日など石造りなのでとても危険に思っていた。また、日銀のある辺りなど土佐堀川の水面より低い感じで大阪の中心でありながら危険地帯だと通る度に思っている。

大阪経済が東京に対比して低迷傾向になって久しいが、これを大阪経済の地盤沈下と呼んでおりなぜ低迷でなく、停滞でもなく地盤沈下と呼ぶのか、「チコちゃんに叱られる」の問題にピッタリだが今読んでいる井上章一著「大阪的」幻冬舎刊で教えられた。

元は作家の小松左京氏の読み解きで

「大阪の地盤沈下が経済的地盤沈下と重なるのは大阪の最も格の高い経済行政の中核機能が集中する中之島、堂島、北浜の地盤沈下が始まってからのようである。」

大阪の工業都市化による用水やオフィスビル冷却水の用途で地下水を多量に汲み上げた結果起こった地盤沈下が20世紀に入り進行した事が経済の地盤沈下へと連想されたものらしい。

どうやらあの淀屋橋北詰めの傾斜した道は橋の高さがそのままで、その先中之島中心部が地盤沈下したため発生した現象であり長い間の疑問の一つが無くなり今日は安眠出来そう。

然し疑問は解消しても今後起きうる南海トラフ地震や巨大台風の高波などから大阪中心部は大丈夫か、心配の種は尽きない。