「根に帰る落ち葉は」

南木佳士(なぎけいし)著「根に帰る落ち葉は」田畑書店刊を読み終えた。
著者は長野県佐久市在住の医師で芥川賞受賞作家、私とほぼ同世代。思いつくまま、依頼されるまま書いたエッセイを取りまとめたもので去年、庭の落ち葉を片付ける頃出版したことにも題名の由来があるらしい。
「落葉帰根」という題と同じ意味の言葉が、エッセイのなかで度々出てくるが、
例えばそのあとに「おまえも、もう根に帰ったらどうだいと、葉っぱたちに諭されてなんだかうれしくなり、さらに歩を速めた」と続く。

この本は著者の希望通り、文庫本サイズの小ぶりながらハードカバーの、あまり無い造りで、出版社も古い知り合いが営む小さな会社とのことである。
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実は読む前まで全く知らず、途中まで読んで分かったのだが、著者は映画・「阿弥陀堂だより」の原作者だった。
阿弥陀堂だより」は樋口可南子さん演じる精神的に疲れた都会の女性医師が寺尾聰さんが演じる夫の故郷過疎の村の医師として赴任、そこの阿弥陀堂の堂守り北林谷栄さんや周囲の人達との交流を通じて快復を果たすストーリーで、見終わってホッとするような映画だった。
監督が「雨あがる」の小泉堯監督でこの監督でこその映画でもある。

前置きの方が長くなってしまったが、本の中でいちばん私の心に残った共感の文章は「誕生日」という題名の最後の部分、

「人生の得失は常に等価なのだろうが、高齢化とともに、諦念と引き換えに得たもののありがたさが身に沁みる。我が身三歳の折りに肺結核で逝った母や、祖母の仏壇にじゃがいもの天ぷらを供え、なにげなく合掌したら、ふいに涙が湧いた。感情失禁は老化の証だが、もうそれを楜塗する気はない」

家の周りで育てている花
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インドへの考察③仏教への改宗で差別から逃れる

購読している朝日新聞には、付録として主に国際的な話題を集めた小新聞「GLOBE」が付いてくる。
以前にもこの日記に書いたことがあるが、孫とインドについて話して以来インドは私の継続的なフォロー対象である。

インドは今後も人口が増え続ける事から近い内に世界で1、2を争う経済大国になるとの予測もあるが私の見方は違う。

インドの8割が帰依するヒンドゥー教では階級制・カースト制度が人々を厳しく縛り、成長に不可欠な国民国家と言う姿がなかなか見えにくい事が、結果として成長を阻害するのではないかと考えるのが私の見方である。

今回の「GLOBE」記事で、現在インドではカースト最下層の人々が差別から逃れる為にヒンドゥーを捨て仏教に改宗する動きが目立ち、その指導者の一人が日本人僧侶との事である。

英国から独立の際、宗教上の対立から建国の父ガンジーが暗殺され同一民族で宗教毎に、ヒンドゥー・インド、イスラムパキスタン、仏教・セイロンとして独立した国柄のなかで、さらに集団で改宗する運動があることは余程の事と察せられるが、その反動も恐いものがある。

今日、対中国という意味からも、日本の安全保障や経済にとってインドは極めて重要な国になりつつあるが、国内の対立がどの様に推移するか、政治にヒンドゥー色が強まる現状と併せ注意深く見ておく必要を感じる。

近くの住宅街の小山の脇で咲いている花
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六角精児の呑み鉄本線日本旅②

乗り鉄撮り鉄いろいろあれど、我が鉄道の旅は呑み鉄なり」の壇蜜さんのナレーションで始まる「六角精児の呑み鉄本線日本旅」①の続き

この番組の列車が走る場面では、大概軽快な音楽が流れるのだが、1番頻繁なのは六角精児バンド(六角さんがバンドで歌っているなんて、この番組を見るまで全く知らなかった)の曲で特に「ディーゼル」と言う歌は知らず知らず覚えてしまった。詞もいいので1番だけ書いておきます。

♪♪走る列車のリズムに合わせ 缶ビールが揺れている
  窓の景色もそこそこに ああ少し酔ってしまったな
  海岸線は故郷へ向かう道 負けたんじゃない
  逃げるんじゃない ほんの少し弱くなっただけ♪♪

②酒編の残り
・JR指宿枕崎線、鹿児島の蔵元で芋焼酎造りの工程を見学、麹の違いによる味の違いを満喫。
白麹ーーグッとくる
黒麹ーーマイルド
黄麹ーー日本酒に近いフルーティー

③地元の人とのふれあい、出会い編
・JR留萌線日本海沿い昔のニシン小屋で人生の大先輩に出会い、エイの干物・カスベをご馳走になりヒレ酒にして食べ、飲む方法を教わる。

天竜浜名湖鉄道、セルフサービス(ツマミを勝手に店内から取り出し音楽も自分でCDをかける)の飲み屋兼酒屋でハイボールとちくわで店の人と乾杯。

・JR予土線、桜満開の四万十川縁で突然アユの差し入れ、それを居酒屋に持ち込み、塩焼きにして貰いかぶりつく、さらに土佐流ベク杯(穴を手でおさえないと流れ出るので飲み干すまで杯が置けない)で乾杯、乾杯、乾杯。

早くコロナが終息し次なるローカル線を見たいものだが、私の郷里の、水害で復旧した乗客数回復運動中の、JR美祢線にも乗って貰えないだろうか?

近くの団地に咲いている小ぶりなひまわりと紫の花
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英語雑談力入門・walk a fine line

英語には自信がないので、サンマルクカフェで経済記事目的で見る「週刊東洋経済」巻末の「英語雑談力入門」は何時も、こんな意味か!、こんな言い回しか!と驚いたり感心したりで勉強になる。

然しリタイア後は殆んど実際の英語と接する機会がなく、折角感心してもドンドン忘れていってるに違いない。
なにせ日本語も時々立ち止まるような状況なのだから。

そういう意味から見るとこのブログ日記を書くことは言葉の学習効果が極めて高いと自分を納得させている。

今週の「英語雑談力入門」でなるほどと納得感心した言い回し。
walk a fine line
〈微妙なバランスを保つ/紙一重のところを行く〉と言う意味に使うらしい。

この場合の fine  は〈細い、細かい〉と言うニュアンスで→細い線を歩く→意見、考え方が異なる両者の間で微妙なバランスを保っていく と言う意味になるとの事らしい。

The UK government must walk a fine line between business and politics

〈英国政府はビジネスと政治の間で微妙なバランスを保たねばならない。〉ーー多分、今の中国に対する向き合い方を例にして居るのだろう?

There's a fine line between self-confidence and overconfidence

〈自信と自信過剰は紙一重です。〉

また少し知識が増えて嬉しいが、それ以上に忘れて行ってないか心配になるこの頃です。

今朝体操しながら見る西方の月、雲もなくまるでクラゲが空中(水中)に漂っている。
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六角精児の呑み鉄本線日本旅①

NHKBSの番組に不定期で放送される、酒と鉄道を愛する六角精児の「呑み鉄本線日本旅」と言う番組があり題名の面白さに引かれて第一回から録画して見始めたが、鉄道オタク俳優の六角さんのゆるいキャラクターと、六角ファンを自称する異色タレント壇蜜さんの語りがマッチングして、NHKとは思えない全体がリラックスムードで以後必ず見るようになった。

今回はコロナ禍でロケが出来ない事から今迄の想い出を集めた総集編と名付けた放送である。
番組がスタートして5年20回の放送で30のローカル線を乗って、呑んだらしい。
番組は、鉄道編、酒蔵訪問の酒編、地元の人とふれあう出会い編に分かれている。
この3編の中からいいなと思った内容を抜粋してみた。


①鉄道編
・JR石北本線、タクシーで1時間半かけて訪れた昭和30年に廃棄されたタウシュベツ鉄道橋梁、古代ローマの遺跡?
普段湖の中に水没している橋が雪が少ないため現れている。
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右の橋桁から見える人が六角精児さんです
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・長崎島原鉄道、海辺の無人駅・大三東(おおみさき)駅で海を見ながら寝転がってビールを飲む。
この放送場面を見てお亡くなりになる前の女優江波杏子さんから六角さんに連絡があり「いい旅してますね」と言われたそうだ。
ちなみに江波さんは私たち世代の映画「女賭博師」シリーズで大活躍された。

②酒編
・京都丹後鉄道、舟屋で有名な伊根町で、日本で一番海に近い酒蔵で古代米を使って造った赤い酒を、大きな笑い声の女性杜氏と一緒に海辺の筏の上で試飲、ワインみたいな酒らしい。

・JR石勝線、旧炭鉱の町夕張で、炭鉱で働いていた人に向けて造っていた酒蔵で、炭鉱夫が坑内にこっそり持ち込んだ酒がまろやかに変化することを再現した、山吹色4年もの古酒を試飲して感動。

書き始めたら少し長くなりそうなので、六角精児バンドの歌と共に、後半は別に書きます。
それにしても気持ちがゆるむ番組です。

自衛隊駐屯地前の軒に咲いている花
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秋茄子の花と残暑下のゴルフ

◎先日8月29日この日記に書いた秋茄子収穫に向けて、茎、葉を剪定、根切りした茄子を、台風前にと、今朝早く見に行ったところ、再び花が咲き始めており、この分では恐る恐る実行した作業が効果が出て来そうな気がして素直に嬉しい。
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ついでにサツマイモを大きく収穫するため蔓から勝手に根を生やすのを断ち切る「蔓がえし」を実施、定期的に地表から蔓を引き剥がすのが大きい芋を育てる為にいいらしい。
効果の程は収穫時しか分からないが。
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◎昨日はいつもの同世代メンバー4名でホームコースで9月最初の残暑下我慢比べゴルフ。

天気予報は午前晴れで午後は雷雨の予想ながら、全く雨や曇りの兆候無く、始めから終わりまで首筋に太陽光線が突き刺さる感じがする状況で、参加者全員が疲労困憊、うち一人が終わり近くに足取りが乱れるような状況で心配したが、何とか4人とも無事に生還することが出来た。
ゴルフをしない人から見ると、きっと馬鹿な高齢者集団に見えるに違いない。

帰りにコース食堂でコロナ対策仕様の慰労会兼反省会、全員でかき氷やアイスコーヒーで身体を冷やしたのだが、なかなかこの程度ではこもった熱は取れそうにない。

クラブハウス食堂から見るプレー後のゴルフ場、いい眺め!
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遠くに見えるのは左が葛城山、右が金剛山
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スコアーは前、後半とも46、トータル92、目標3打オーバー、特にパットが最後まで入らず残念。

吉田類さんの俳句と短歌

昨年6月6日のこの日記にBSの長寿TV番組「吉田類の酒場放浪記」の事を書いたが、その酒場詩人を自称する吉田類さんが、全国の酒場を訪ねた時のエピソードを中心に書かれたエッセイ集「酒は人の上に人を造らず」中公新書刊 を読んでいる。
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東京下町、北海道、福島、京都、愛媛、熊本を訪ねて酒場の風情と人間模様を描いて居るのだが、どうもあのTVで気さくに酒場の常連さんに打ち解けていく様子とダブって見えてくる。

私は余り酒を飲む方ではなく缶ビールが1缶有れば充分な口なのだが、日本酒の銘柄の由来や旨そうな肴の数々は興味津々になってくる。

酒場詩人を名乗られており、TVでも一軒の酒場を出る度に自作の俳句が出てくるが、本にも自作、他作の俳句と短歌が溢れており、その中で私の心に刺さったものを抜き出してみた。
但し私は俳句も短歌も全く素養は有りません、念のため。

酔鯨のもんどり打って土佐の海モーゼの咆哮さながらに割くーー幕末土佐藩山内容堂の号を清酒に付けた「酔鯨」は有名、これに「十戒」の名シーンをあわせて土佐の海の雄大さ。

・咳をしても一人(尾崎放哉)ーー有名な句、孤独感が沁みる。

・独酌に雨後の月冴ゆひとしずくーー月が独酌の酒盃に映り込んでいるような場面が思い浮かぶ。

・菜の花や月は東に日は西に(与謝蕪村)ーーこの同じ景色、上海で郊外のゴルフ場から帰る車中で道の両側が菜の花畑、東の空に白い月、西に太陽、思わずこの句を口ずさんだ。

・月渡る女酒場の身の上をーー懐メロ「カスバの女」の世界?

・闇海(くらうみ)を孕みつ喰わる蛍烏賊ーー下町の酒場で食した富山産ホタルイカがモチーフらしい。酢味噌あえが旨そう。

「酒呑み」と短歌・俳句は妙に合いそうな気がする。

◎少し遠回りした先の田んぼ、稲の穂が充分出揃ってきた。
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