吉田類さんの俳句と短歌

昨年6月6日のこの日記にBSの長寿TV番組「吉田類の酒場放浪記」の事を書いたが、その酒場詩人を自称する吉田類さんが、全国の酒場を訪ねた時のエピソードを中心に書かれたエッセイ集「酒は人の上に人を造らず」中公新書刊 を読んでいる。
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東京下町、北海道、福島、京都、愛媛、熊本を訪ねて酒場の風情と人間模様を描いて居るのだが、どうもあのTVで気さくに酒場の常連さんに打ち解けていく様子とダブって見えてくる。

私は余り酒を飲む方ではなく缶ビールが1缶有れば充分な口なのだが、日本酒の銘柄の由来や旨そうな肴の数々は興味津々になってくる。

酒場詩人を名乗られており、TVでも一軒の酒場を出る度に自作の俳句が出てくるが、本にも自作、他作の俳句と短歌が溢れており、その中で私の心に刺さったものを抜き出してみた。
但し私は俳句も短歌も全く素養は有りません、念のため。

酔鯨のもんどり打って土佐の海モーゼの咆哮さながらに割くーー幕末土佐藩山内容堂の号を清酒に付けた「酔鯨」は有名、これに「十戒」の名シーンをあわせて土佐の海の雄大さ。

・咳をしても一人(尾崎放哉)ーー有名な句、孤独感が沁みる。

・独酌に雨後の月冴ゆひとしずくーー月が独酌の酒盃に映り込んでいるような場面が思い浮かぶ。

・菜の花や月は東に日は西に(与謝蕪村)ーーこの同じ景色、上海で郊外のゴルフ場から帰る車中で道の両側が菜の花畑、東の空に白い月、西に太陽、思わずこの句を口ずさんだ。

・月渡る女酒場の身の上をーー懐メロ「カスバの女」の世界?

・闇海(くらうみ)を孕みつ喰わる蛍烏賊ーー下町の酒場で食した富山産ホタルイカがモチーフらしい。酢味噌あえが旨そう。

「酒呑み」と短歌・俳句は妙に合いそうな気がする。

◎少し遠回りした先の田んぼ、稲の穂が充分出揃ってきた。
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