NHKスペシャル混迷の世紀「世界"債務危機"は止められるか」

NHKのドキュメンタリー「混迷の世紀」は直近の国際的な問題点や課題をテーマにして掘り下げる調査報道番組である。

今回のテーマは「世界"債務危機"は止められるか」という題であり、ウクライナパレスチナなどの目に見える国際的な危機の裏で目に見えにくい、債務不履行・デフォルトへの危機が進行しているという視点である。

アメリカを始めとする先進国の長期にわたる緩和マネー供給から、一転した昨年からのインフレ対策・金融引き締め金利上昇が、途上国からの資金の逃避を生み、IMF国際通貨基金のまとめによると既にデフォルトに陥っている国が3ヶ国、警戒を要する国が34ヶ国もあるというのは正直言って驚いた。

この構図は1997年タイに始まった通貨危機に非常によく似ており画面を観ながらついその当時を思い出してしまった。

海外工場の仕事をしていた折、各国の混乱を目の当たりにし、例えばインドネシアでは通貨ルピアの下落で、ジャカルタでホテルから外出する折には札束をポケットに入れて出掛けなければならなかったことなどを思い出す。街には騒乱の焼き打ちなどの跡が残っていた。

副題が「債務交渉の舞台裏」となっているように、番組では危機に陥っている国のひとつである「スリランカ」の債務交渉を日本政府主導で各国の調整を進める姿を追っている。

ちなみにスリランカの債務は約360億ドル(5兆4000億円)、債権国は22ヶ国、債権の約半分が中国で日本はこれに次ぐ。各国の利害が交錯するなかでなんとか交渉をまとめ影響が世界に拡がらないようにしようとする財務省の財務官以下スタッフの奮闘が追跡される。

今まで財務官の姿を目にするのはニュースで為替介入の時位だったが、このような場面で奮闘する姿を見て財務省の仕事の広範囲なことに感銘を受けた。

この番組のなかでは交渉妥結まで至ってないが、その事由の一部に中国の存在があることが充分理解出来た気がする。番組のなかでIMF(国際通貨基金)の専務理事が「いまや中国なしには持続可能な債務問題の解決は不可能です」と語っているのが印象的であった。

番組を観ながら日本の国や地方の債務合計がGDPの2倍以上になる1200兆円にのぼる問題が頭をよぎる。この点の影響の度合いについては諸説あるものの、基礎的財政収支を速やかに黒字化していくことは最優先の課題である。

🔘今日の一句

 

根に帰る落ち葉を何故に掃き集め

 

🔘施設の介護棟屋上庭園、画像検索ではノースポールという菊科の種らしい。