コロナウイルスの影響で経済面の指標や価格の変動が激しく、毎日のニュースをにぎわしているが、私が今一番注目しているのが原油価格の動きでここ最近の下落は只事ではない。
原油の指標の中で最も注目度の高いニューヨークで取引される西テキサス原油を基準にするWTI原油先物は年初60$/バレルだったのが最新では20$/バレルを割り込む迄来ている。
個人的に見るとガソリン価格が下がると予測され嬉しいが日本全体でも貿易黒字となって短期的には良い傾向かもしれない、然しここまで下がると関連企業や産油国経済等の影響が周り廻ってコロナウイルスの影響を倍加させる恐れがある。
通常このような場合産油国は協調して減産し価格の維持を図るはずだがこの交渉が決裂、主要産油国のロシアは増産、サウジアラビアは値下げと増産というから驚きである。
世界の原油生産はシェール革命の米国と、ロシア、サウジの3ヶ国で全体の4割を占めているが、生産コストはシェールの米国が最も高く、最も安いのはサウジで増産余力も大きい。
この為近年急激にシェアを上げてきたシェールオイルを潰しておこうとの思惑がロシア、サウジ双方にあると言われているがサウジは更に進んで値下げもする等同時にロシア潰しも考えているかもしれない。
政治的に見るとロシアは明らかにサウジ、米国の敵でありこの先、米国は自国のシェールを守るためロシアの石油に経済制裁などを加えたり、サウジに対しては政治的な取引や協調を呼び掛けるかも知れない。
またサウジ、ロシアは国の財政に対する原油輸出で得る収入の影響が大きく我慢の限界点がどこにあるのか、どちらが我慢仕切れなくなるのかチキンレースとしての興味もある。
歴史を見ると近代戦争は誰も割に合わないとわかっていても、偶然や思惑が重なり突入してしまうものだが、まさしく今の状況は石油戦争前夜ではないか、現代史の1頁を直接見ている気がする。