「恋・酒・放浪の山頭火」

石寒太(いしかんた)著「恋・酒・放浪の山頭火徳間書店 刊を読み終えた。

よく知られているように山頭火山口県出身の俳人で俳句の初心者である私にとっては同郷の大先輩であり以前にも関連する本でこのブログに書いたことがある。

山頭火の酒と放浪については有名だがこの本の題名にある恋とは無縁の人物と思ってきた。

何か新しい事実でも出てきたのかと少しばかり興味が湧いてその部分を読んだのだが少し「誇大広告」気味の内容でやはり結局酒と放浪に収斂してしまうようである。

この本は山頭火の生涯の軌跡とその俳句鑑賞を俳人の目で見つめたものだが、この対象となる同郷の先輩について、

・生い立ちからくることも含め私生活の面でのどうしようもない部分への反感

・既成概念にとらわれない俳句の独創性に対する尊敬の念

のような二つの感情が私のなかで交錯してまとまりがつかない。

日記や俳句をみると本人もこの二つの間で往き来しているのがよく分かり、現実や私生活での苦しみが放浪をすることや句を作ることで救われていたのだろうと推測される。

この本で新しく知った句で好感を持てたもの

どなたかかけてくださつた莚(むしろ)あたたかし

ほうたるこいこいふるさとにきた

水車まはる泣くような声出して

酒飲めば涙ながるるおろかな秋ぞ

 

🔘一日一句

 

本を閉じ背伸びの先に梅雨の月

 

🔘ベランダから見た「梅雨の月」と夜景、奥に一直線でかすかな水平な光は大阪湾を隔てた大阪の夜。