「会津みしらず柿」

施設の俳句サークルの先輩から福島県会津若松地方で産する「会津みしらず柿」という皇室にも献上されるという名産品のお裾分けを頂いた。

現地に住まわれているご親戚から毎年贈られてくるとのことで、初めての貴重なものを味わせて貰うことになった。

漢字で書くと「身不知柿」となり、諸説ある名前の由来のひとつが、江戸時代当時の会津松平家当主が藩の献上品として将軍家に贈った際に「未だかかる美味なる柿を知らず」という賞賛の言葉を頂いたからだという説も有るらしい。

会津松平家23万石はよく知られているように3代将軍徳川家光の異母弟で名君として名高い保科正之(ほしなまさゆき)を藩祖とする。

保科正之は出生の事情から信濃の名族・保科家で養育され養家を継いだ〉

将軍家に忠義を果たすことを家訓とした御三家に次ぐ特別の家柄で、それが結果的に幕末の藩主・松平容保(かたもり)をはじめとする藩の行動を決定付け、戊辰戦争明治維新にかけての会津の悲劇を生むことに繋がる。

私の生まれた長州藩とは、新撰組池田屋事件(新撰組会津藩預りの組織)、禁門の変鳥羽伏見の戦い戊辰戦争などを通じ一貫して敵として戦った歴史がある。

この柿は中国へ渡った留学僧が持ち帰った「種」が元になっている渋柿で、アルコールや炭酸ガスで渋抜きされちょうど食べ頃に開封されるようにするなど気配り厳選される会津のブランド品とのことである。

皇室献上品は会津の特定の地区の生産品に決まっているらしいが、頂いた柿に付いていた説明書には同じ地区の生産者の名があった。

私の渋柿のイメージは生家の柿ノ木に毎年実を付ける少し縦長のものだが、この渋柿は写真のようにどちらかというと甘柿として知られる富有柿(ふゆうかき)に似て横に大きい。

食べると程よい甘さで硬さも柔らかすぎず食感もよくさすがに名産品で「敵ながら天晴れ」という印象を受けた。

 

【見不知(みしらず)の 柿を齧(かじ)るや 会津武士】

 

🔘人の手に似た落ち葉が舞う季節だが、種によって大きさが大きく異なることに今更ながらビックリする。

大きい順にプラタナスアメリカフウ、楓、イロハモミジ、黄色は銀杏(いちょう)。