映画「博士の愛した数式」

NHKBSプレミアムシネマで放送された「博士の愛した数式」を録画再生で見終えた。
原作は本屋大賞に選ばれ当時のベストセラーになった作家・小川洋子さんの同名作品。

観始めて分かったが、この映画の監督は「雨あがる」「阿弥陀堂だより」など観る度に、観終わる度に、こころが少し軽くなる気がする映画を手掛け、黒澤明監督の弟子とも云える小泉堯史(こいずみたかし)氏だった。

小泉監督の常連とも云える俳優・寺尾聰(あきら)さんが天才数学博士役で主演、博士宅へ派遣される家政婦が深津絵里さん、その息子でルートとあだ名されるのが子役と、成人後の数学教師役として吉岡秀隆さん、博士を見守る義姉が浅丘ルリ子さんといった主な配役で、それぞれが上手くその役柄にはまっている印象があり、これも監督の手腕の一つかもしれない。

ネタバレになりそうなので簡潔に書くと、『事故で記憶に障害が残り80分しか記憶がもたない天才数学者と、家政婦とその息子の心の交流を、成人した息子ルートが懐かしく尊敬を込めて振り返る物語』だろうか。

このなかで色々な数学用語が、家政婦やルート君に向かって博士が説明する形で出て来て、それがこの物語に厚みを与え迫真的な効果を生んでいるような気がした。
素数
・ルート
・階乗
虚数
友愛数
無理数
etc

劇中の博士がルート君に語るセリフには考えさせられた。
「1とは何なのか難しい問題なんだ」

然し文系だろう小川洋子さんは、これらの数学的な素養とこれを物語に結びつけるアイデアをどのようにして獲得されたのか、こちらの方に非常に興味がある。
やはり作家を志す人は眼のつけどころが違うし、これらを深く理解する為きっと数学の勉強に励まれたに違いない。

◎先日購入した我が家のシクラメン
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