渋野日向子選手⑨何が起こるかわからない!

ゴルフは「最後まで何が起こるかわからない」と言われるが、我々アマチュアの世界ならともかく、あっと驚くドラマのような出来事をプロの試合で見ることは稀である。

一昨日の女子プロゴルフの試合「樋口久子三菱電機レディス」ではこのまさかのことが目の前で起きてしまった。

最終日の最終組になった韓国のぺ・ソンウ選手と渋野日向子選手はスタート時点でトップタイ・同スコアーであり、云わば一騎討ちとも言える状態で一進一退の中、終盤はぺ・ソンウ選手が先行。

・15番ホール 渋野ボギー(基準より1打多い)で2打差
・16番渋野バーディー(基準より1打少ない)で1打差
・17番ぺ・ソンウ バーディーで2打差に拡大
・最終18番渋野バーディー、ぺ・ソンウ ボギーで同スコアーとなりプレーオフ決定

◎最終のひとつ前17番ホールでぺ・ソンウ選手がバーディーを取り、その差が2打に拡がったとき私は勝負あったと思ってしまった。
残りの1ホールでバーディーとボギーなら同スコアーで並ぶ理屈だが、例え渋野選手がバーディーを取ってもぺ・ソンウ選手のゴルフはとても安定しておりボギーを打つ可能性は低いと思ったからである。

ところがここから考えられないことが起きる。
渋野選手がバーディーを取ったあと、ぺ・ソンウ選手が入れたら優勝の1m位のパーパットを右に外してしまったのである。
ここで私は本当に「あっ!」と大声を出してしまった。

普通プロが練習でこの距離のパットをすると、ほぼ100発100中で入れるはずで、そうでなければプロツアーで戦えない。
明らかに精神的なものが微妙に影響していたと思われる。

自分の経験からしてもここぞの時の短い距離のパットは、「入れなければならない」という気持ちが手の動き、身体の反応を微妙に狂わせる。
このような局面に突然遭遇したぺ・ソンウ選手には気の毒としか云いようがない。

この後のプレーオフでは渋野選手がパー5(基準打数5)のホールを2打でグリーンに乗せ、そこからのパットを1発で沈め劇的なイーグル(基準より2打少ない)を取り優勝してしまった。
何かコミック漫画のストーリーにあるような「何が起きるかわからない」場面を目の当たりにした不思議な気持ちがこれを書いている今も残っている。

ぺ・ソンウ選手が悔しさを押さえ祝福のハグを渋野選手としたシーンは自分を必死に律した姿がとても印象的で好感を持ったが、多分18番のパットはぺ・ソンウ選手の心に深く刺さったはずである。トラウマなどに成らずこの影響が前向きな方向へ転化するよう願っている。

渋野選手はやはり何かを持っているのかもしれない。

◎我が家の金木犀(きんもくせい)良い香りがしている。
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