「古代豪族の謎」

山口県周南市の中学同級生から〈古事記日本書紀から読み解く「古代豪族の謎」新人物文庫〉を贈って貰い読み始めた。
古代天皇家と密接に関わり歴史を形作ってきた古代豪族、物部氏、葛城氏、蘇我氏、吉備氏等10氏についてそれぞれの研究者がその実状に迫ろうとする本である。
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各々の豪族が記述される前段に「古代王権の成立と豪族の原像」と題して関西大学名誉教授・横田健一氏が総論を記されているが、この中に私が以前から疑問に思っていることについて少し触れられていた。

その疑問とは「天皇家には家名や姓は無かったのか?」である。
ヨーロッパの王家は勿論の事、近隣の中国、朝鮮の王朝にも必ず姓がある。

例えば半島の国、高麗(こうらい)は王氏、李(り)氏朝鮮は名前の通り李氏である。
中国の清(しん)国は愛新覚羅(あいしんかくら)氏、明(みん)国は朱(しゅ)氏などである。

中国や朝鮮など儒教の影響を受ける国では王朝の交代を易姓革命(えきせいかくめい)といい、皇帝や王を名乗るものの姓が変わることを正当化するが、それぞれの王朝には姓氏があることの前提になる言葉といえる。

横田氏はこの総論の中で天皇家の姓について
・中国の「隋書倭国伝(ずいしょわこくでん)」等に日本国王の姓は阿毎(あめ・天)と記しているが、6、7世紀の多くの天皇の諡名(おくりな)に「天」がついたのでそう考えたたのかも知れないが天は皇室の姓ではない。

天皇号以前、「大王(おおきみ)」と言えば氏や家の名前を必要とせず誰にでも通じたのであろう

・豪族は地名を名乗ったが、万葉集雄略天皇の歌では自らの家も名も告げたと詠われている。
「~~~大和の国は おしなべて 我こそ居れ しきなべて 我こそませ 我こそは 告(の)らめ 家をも名をも」
もし皇室が地名を名乗ったとするとそれはヤマトであろう。

と記されている。明快な回答とまでは言えないが、私の頭の整理には一歩前進したような気がする。

◎これは茎や葉の様子からナデシコ科のスイセンノウのような気がする。
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