「シルクロード~仏の道をゆく」と「ふりさけ見れば」

日経新聞で作家・安部龍太郎さんの新連載「ふりさけ見れば」が始まった。

「天の原ふりさけみれば春日なる 三笠の山に出でし月かも」
多分阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)の詠んだこの歌から来ている題名と思われるが最初の場面も阿倍仲麻呂が滞在する長安から始まった。

事前に紙面に掲載された説明に依れば遣唐使でありながら唐の皇帝に重用されて帰国できずに亡くなった阿倍仲麻呂遣唐使から帰国して右大臣まで昇りつめた吉備真備などが主人公になるらしい。

同著者の「シルクロード~仏の道をゆく」を同時期に読むことになったがこの「シルクロード」の旅の中で今回日経新聞で連載を始める遣唐使物語について度々話が及んで来る偶然に驚いてしまった。

その内ふたつを挙げると
シルクロードの案内役・王さんにどうして遣唐使の物語を書こうと思ったかを聞かれて

「25年前に一人で中国を旅して~その時感じたのは日本の歴史や文化は東アジア特に中国の影響抜きに語れないということ。~~日本を花に例えるなら中国は根と幹であり~~いつの日か日本と中国を結ぶ小説を書きたいと思った。

~~~2013年中国を再訪した時私の頭にひらめくものがあった(そうだ遣唐使を書けばいいのだ)~
私はそう決意しそれから毎年中国を訪ねて取材と勉強を重ねてきた。~~」

遣唐使阿倍仲麻呂はなぜ唐に留学し、日本に戻らないまま唐で他界したのか?という今度の連載の肝が解決できていなかった中、シルクロードの旅の途中にひらめく。

「もっと日本と唐の関係の根本に関わる理由を設定できないものか。眠れないままに考えを巡らしていると、深い海の底から泡(あぶく)が立ち昇るようにひとつの着想が浮かんだ。~~~歴史的にも説得性があるし、仲麻呂があれほど玄宗皇帝に接近した理由の説明にもなる。そう思うなり飛び起きて、明け方まで構想を書き連ねたのであった。」

遣唐使に関して新たな視点で書かれるらしい。新連載を毎日読むのがいよいよ楽しみになってきた。

◎朝の歩き、くぬぎ林の緑が鮮やか。