イスラエルの先端農業技術

一昨日の日経新聞の ASIA BIZというアジアビジネストレンドを扱う紙面に「イスラエル企業の先端技術 東南アジア、農業増産をめざす」というNIKKI Asia(英語版)と同時掲載の記事が載っている。

最近のイスラエルに関するニュースは国内政治とパレスチナとの紛争で溢れているが、この記事は一転して、タイ、ベトナム、フィリピンなどの東南アジアの農業国がイスラエルの持つ先端灌漑(かんがい)技術などを用いて農産品の増産に挑み食料安全保障に目を向け始めたことを伝えている。
イスラエルの強みは点滴灌漑システムと呼ばれるものでエネルギー消費を抑えながら水を利用する。

東南アジア諸国のような農業に適した広大な国土を持つ国が、イスラエルのような国土の3分の2が乾燥地帯の国に、技術指導を受けると云うと非常に矛盾した話に聞こえるが、私はこの記事を見てむしろ「なる程なあ」と思ってしまった。

私が仕事でイスラエルを訪問してもう20年近くになるが、この記事に関連した内容でその時の印象を挙げると
・IT企業、先端企業が続々進出または起業し始めている。
・砂漠に囲まれながら果物野菜がふんだんに採れている。
・当時はキブツと呼ばれた建国以来の集団農場が機能しており集団で農地の開拓に励んでいた。
等々であった。

アラブ世界に囲まれ耕地の少ない厳しい土地柄を、ユダヤ民族の知恵で生き抜いた近代の歴史がイスラエルにはあり、その得られた知識が農業国に先端農業を教える源泉になっているのだろうと、私自身とても納得している。

イスラエルシンガポール大使の情報では現在イスラエルには約600社の農業技術や食品技術の企業があり、その多くは国外への進出を視野に入れ各地の気象条件に合わせて技術を提供できるとの事である。

弱みを逆に強みにした知恵と努力は日本も学ぶべき事がたくさんある。
また気候風土が農業に適していてもそれに安住してしまうと、逆にいつの間にか教えられる側に廻ってしまうという点にも考えさせられる処がある。

◎図鑑を見るとこれは初夏に咲くアガパンサスと思われる。
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これは別の場所で
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