NHKBSプレミアムシネマで放映され、長い間録画したままにしていた、アルフレッド・ヒッチコック監督の映画「知りすぎていた男」を昨日夜ようやく見ることにして、ビックリしてしまった。
私は映画を観るまで有名な歌「ケセラセラ」がこの映画の劇中歌であることを全く知らなかった。
ケセラセラはこの日記2019年6月1日に「農作業とケセラセラ」と題して初めての農作業を「なるようになるさ」の気分でやってみたことを書き、歌を歌ったドリス・デイさん、ペギー葉山さん何れもが亡くなられた事にも触れた。
映画の中、ドリス・デイさんの高い調子の明るい歌は一度目は子供とホテルの部屋で踊りながら、ニ度目はクライマックスで誘拐された子供を夫で父親役のジェームス・スチュワートが大使館内で探す時間稼ぎに歌われて効果を上げている。
然し映画の中身は「ケセラセラ」とはあまりそぐわないようなヒッチコック監督特有のサスペンス、ハラハラドキドキの、途中で観るのを中断できない面白さがある。
舞台歌手ドリス・デイと医者のジェームス・スチュワートの夫婦が子供を連れてアフリカモロッコのマラケシュを旅行中、某国の首相暗殺計画に巻き込まれ、内容を知った為に口封じに子供を誘拐され、パリからロンドンへ。
ロンドンの演奏会での暗殺はドリス・デイの間一髪の大声で阻止されるが、首謀者は某国の大使で子供は大使館内に居り夫婦が協力して助け出す。
1956年に製作された映画らしいが、現在の大金をかけた大型アクション映画に決して見劣りしないのはなぜだろうか?やはり考え抜かれたストーリーと迫真の心理描写に有るように思われる。
例えば大交響楽団の演奏会で首相が狙撃される場面では、犯人が楽団の演奏するシンバルの音に合わせて狙うように設定され、段々と迫り来るシンバルのタイミングと、子供の命が掛かっているドリス・デイの葛藤が、ハラハラドキドキの山場で交錯して、映画のクライマックスになっており、いつの間にかヒッチコック監督の術中にはまってしまっている。
◎近くの民家の軒先でたわわに実ったビワ