真夏の刺身弁当

沢野ひとしさんについてはほとんど知らずにその著書「北京食堂の夕暮れ」「中国銀河鉄道の旅」を読んできた。
主に中国各地を旅したエッセイであった。

今回図書館でその沢野ひとしさんの新刊(2021年3月15日発行)「真夏の刺身弁当~旅は道連れ世は情け」産業編集センター刊を好運にも、まっさらの状態で借り出すことが出来、これも何かの縁と思い沢野さんのプロフィールを頭に入れることにした。

1944年生まれでイラストレーター、エッセイスト絵本作家とあり、趣味が山登り、旅、音楽、片付けらしい。
今まで読んだ本には必ず個性的なイラストが付いておりイラストレーターには納得。趣味がそのままエッセイにつながっているようだ。

今回本人の写真も初めて見たが「酒場放浪記」の吉田類さん似で酒と食べ物、山登りの話が良く出てくるのも共通している。然し私より3年年長で、旅や山登りに駆け回る姿は敬服に値する。

題名の「真夏の刺身弁当」は青春時代割烹料理屋の娘とデートしたとき彼女が持参した酢漬けの刺身入り弁当の想い出から来ているようだが、このエッセイのなかで私自身も全く同じことを感じた事と、遭遇したことの一つずつを書き出しておきたい。

・〈新たな町へ行きたい〉章
「国際空港にはその国の匂いが強烈に充満していて、到着した時に一瞬身構えるかのごとく後退りする。だが帰路の時はその匂いもまったく気にならなくなる。自分の体にすっかり溶けこんで気が付かないのだ。」

ーーー私の場合沢野さんと違い全て仕事だが、数ヶ月以上連続して滞在した国を挙げると、台湾、タイ、インドネシア、中国などがあるがこれらの国では全く著者と同一の感覚を持っていた。例えばタイや中国上海では駐在時に新しい国際空港が誕生、新旧両方の空港を経験したが感じた匂いはほとんど同じで、その国の匂いそのものだった気がする。

・〈北欧に憧れる〉章
沢野さんはデンマークコペンハーゲンで手荷物受け取りに失敗し、泣きたい気分で荷物トラブルに巻き込まれ何時間かかけてようやく自分のトランクと出合ったことが書かれている。

ーーー私も今まで3回の荷物トラブルに巻き込まれたが、よくある紛失事故までには至らず、幸いにも3回とも何とか再会出来た。

1、短期の出張だったが仕事の資料も入ったトランクがタイの空港で出てこない。空港職員から「荷物は他国に行っており後ほどホテルに届ける」」と言われやむ無くホテルへ、日付けが変わる頃ホテルの部屋にメッセージと荷物が届き胸を撫で下ろした。

2、ゴルフでタイに行った折り、ゴルフバックが出てこない。辛抱強く待っても出てこず、他のレーンを探しても見つからず最悪を覚悟して空港職員に聞くと、ゴルフバックは別の受け取り口に回されているとの事(密輸を疑われた?)、とにかく明日からゴルフが出来ることが分かり一安心。

3、どこの国からの帰国だったか?香港乗り継ぎ便を使用、香港空港で乗り継ぎ手続をしていると職員から、「荷物の積み替えが時間的に間に合わない、取り敢えず日本に荷物なしで帰って貰い、そのあと荷物を自宅まで届ける」と言われ、やむを得ず帰国、仕事に関係している物も有るのに困ったとイライラしていると、翌日自宅に荷物がようやく届いた。

◎教訓ーー直ぐに必要で重要なものは必ず機内持ち込み荷物にすること。本当に海外渡航は予想外の連続です。

◎これはデージ-の仲間のような気がする。