「大阪で本を作る楽しさ、難しさ」

1月4日のこのブログで取り上げた、大阪大学適塾記念センター発行の機関誌「適塾No53」に、統計を交えた面白い大阪の記事が載っている。

大阪で、創業15年と新しくて小さな出版社を経営する中島淳(なかしまあつし)さんが、大阪という地域で本を作る苦労や面白さを書かれた「大阪で本をつくる楽しさ、むずかしさ」がそれで、昨年末、自分の本が完成したこともあり、つい身近なこととして読んでしまった。

・日本の出版に関する中心は圧倒的に東京にあり、2019年の出版社数の統計がそれを端的に表す。
1位 東京都 1489社
2位 大阪府 108社
3位 京都府 74社

・人がどれくらい本にお金を使っているかが分かる、一世帯当たりの年間、雑誌・書籍購入費。
1位 長野県 17760円
2位 東京都 17114円
3位 高知県 17095円
39位大阪府 11743円

・大阪人が知的好奇心より大事にしていると思われるものが「飲み食い」で喫茶店の数、
1位 大阪府 8680軒
2位 愛知県 7784軒
3位 東京都 6710軒
お好み焼き店の数。
1位 大阪府 2850軒
2位 兵庫県 1947件
3位 広島県 1656件

これらの客観的データも含めて大阪での出版のむずかしさを語り、偽らざる本音として『もうちょい活字にもお金を使ってくれよ!』と書いている。

ただ反面、以下のような事から大阪で本を出すことに楽しみや面白さがあるとも語る。
・東京の出版事情(例:ヘイト本が多い)から距離を置ける。
・大阪には歴史の埋もれた断片が多数残されている。
・普段使っている言葉に近い書き言葉での表現が可能、出版物だからといって「よそ行き」にならず身近な人に話しかけるというスタンスを受け入れてくれる。

どこの世界にも自分の好きな稼業に懸命に取り組む人がいる。

◎ほうれん草の初収穫、この野菜は寒さをものともせず育つ。
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