タイ・バンコクの地盤沈下

日本経済新聞のコラムで「水と戦うアジア」の記事がありジャカルタ等アジアの諸都市が地下水の過剰な汲み上げ、異常気象、上下水道対策遅れ等から世界最速のペースで地盤沈下を続けているとある。

そのなかでタイの首都バンコクは有数の沈む都市で海抜1.5mの湿地チャオプラヤ川(メーナム)の河口に氾濫堆積土で築かれ年2cmのペースで沈んでおりこのまま放置すると2030年までに都市の40%が水没するらしい。

今から約年20年前、仕事でタイに赴任し6年近くバンコクで暮らしたが雨季になると  例年、熱帯特有の豪雨で中心部の道路が冠水し帰宅困難、車の大渋滞が発生した。

勤務する工場はバンコク南部の郊外にあったが地盤の沈下が激しく建屋を建築する場合コンクリートパイルを何本も縦に連続して打ち込みようやく固い岩盤に達することができた。

建築後数年たって重い機械を設置するため建物の下に潜ってビックリしたことがある。

建物はパイルに支えられているだけでその他の部分は建物と土地の間に大きな隙間が出来ておりこの地盤沈下の激しさにはがく然とした。

2011年にバンコクで大洪水が発生、日本企業の工業団地も冠水したニュースが連日報じられたが、やはりと思ったものである。

これらの対策で即効性があるのは中心部から海への放水路を作ることだが、タクシン派反タクシン派が対立する政治構造が長く工事が中断したりで課題解決が進まない。

地球温暖化の影響もあり残された時間は少ない。長く住んだ懐かしい都市バンコクが早く洪水の危険から抜け出すことを願っている。

また、タイにはもう一度再訪したいものだ。