映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」

民放で放映された1997年のアメリカ映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」を録画再生してようやく観終えた。
ブラッド・ピットが主演したこの映画は間違いなく2度目の鑑賞なのだが以前劇場で観たのかTVなのかはっきりしない。

登山家の主人公、ダライ・ラマ14世、中国共産軍のチベット進攻といったポイントは憶えていたものの今回観たことでこの関係がよりはっきり自分のものに出来たような気がしている。

ブラッド・ピットが演じる、原作者でオーストリア人の実在の登山家は、ナチスドイツに反発しながらもオーストリアを併合したドイツが国策として組織したヒマラヤ登山隊に参加する。

登山は失敗に終わるなか、英・独が開戦したことに伴い登山隊は地域を支配する英軍の捕虜となる。

主人公と仲間一人が脱走に成功するが、図らずも未踏の地チベット・ラサに至って若きダライ・ラマ14世と出会い交流が始まる。
セブンイヤーズは中国共産軍のチベット進攻で終わるこの交流期間7年を表したものらしい。

映画のレベルがとても高い気がして2度目にかかわらず集中して見終わったが、ストーリーの面白さとは別に以下の5点で現代史について知識がとても深まった気がしている。

・映画「サウンド・オブ・ミュージック」でも垣間見得た民族的に近いオーストリアとドイツの複雑な関係。

・宗教と政治の指導者であるダライ・ラマ14世が、インドに亡命後の現在までチベット人に尊崇される理由、またそれを支える輪廻転生(りんねてんしょう)の思想。

・原作者でもある登山家自身がダライ・ラマと交流するなかで精神的な成長を遂げていくことでダライ・ラマの宗教的指導者としてのレベルの高さが理解出来る。

・清(しん)の時代から続く中国(漢民族)とチベット(チベット族)との緊張関係。

共産主義と宗教(チベット仏教)との対立が民族問題を更に悪化させる要素になっている。

🔘この映画全体がチベットへの応援歌になっているような気がする。

🔘施設の庭に植えられている花