アラビアのロレンス

NHKBS TVで映画「アラビアのロレンス」を録画して観た。
この映画を観るのは劇場とTVで併せると4~5回になるかもしれない。
観る度に砂漠の映像が美しさと、厳しさの両面から迫ってくる3時間45分の超大作である。

兎に角スタッフや出演者に、すごいメンバーが並ぶ。
監督がデビット・リーン、「戦場にかける橋」も良かった。 音楽がモーリス・ジャール、この音楽が全ての場面にマッチして素晴らしい。     

配役が ロレンス:ピーター・オトウール、ファイサル王子:アレック・ギネス、族長アリ:オマーシャリフ、族長アウダ:アンソニー・クイン、アレンビー将軍:ジャック・ホーキンス等々

第一次世界大戦時、アラブ世界はオスマントルコが支配しておりドイツと同盟し英仏と敵対していた。
アラブの一部ファイサル王子や砂漠の民ベドウィンがトルコに対して反乱に立ち上がるが、敵の敵は味方の論理で英国が反乱軍を支援する。

英国情報将校のロレンスは独自の戦略でアラブの反乱軍を率いてトルコに挑み、戦略上の要衝アカバを攻略、更に鉄道を破壊するなどゲリラ戦を展開し、遂にダマスカス入城を果たす。

然しアラブはダマスカスの民族会議で、部族対立によって纏まることが出来ず、結果的に英仏の取引に利用され(サイクス・ピコ協定)ロレンスはアラブを去ることになる。

ロレンスは大戦後「知恵の七柱」という題でこの戦いの体験記を書き、映画の脚本を書いたロバート・ボルトはこの本を下敷きにした。
「知恵の七柱」は平凡社から出版され私の書棚にも、もう30年来納まっている。
f:id:kfujiiasa:20200803161357j:plain

今のアラブ世界や中近東はその殆んど全てに第一次大戦後の結果が生きており、ロレンスが理想としたアラブの統一とは程遠い、宗教的な対立、大国の思惑、部族民族対立等々が続く。

この映画が出来たのが1962年とのことだが初めて観た日は思い出せないものの、個人的に言うとこれ程世界情勢について勉強になった映画は他にない。

然しその物語とは別の次元で、この映画の価値の一番は砂漠の映像にあるのではないかとも思う。

「歩き」の途中、近くの民家に咲いている花
f:id:kfujiiasa:20200804075011j:plain