商船三井のデータを活用した海運現場の改革

商船三井日本郵船と並ぶ日本屈指の海運会社で、世界の景気動向を見る上で非常に参考になる会社で、世界的なバラ積み船の指数・バルチック海運指数と合わせ個人的にその動きをずっとウオッチしている。

最近日経新聞の系列でこの商船三井が取り組んでいる、データを活用した海運改革の内容が連続して取り上げられている。

空のドローン、陸の自動運転等、の分野では話題が溢れているが海上の改革が話題になるのは珍しくとても興味がある。

その内容を整理してみると、
ビッグデータを活用し、最適運航ルートや自動での衝突回避を狙った、船員を助ける目や頭脳の開発。
・目は他船等との位置関係を計測するカメラ、波高や気象を把握するセンサー、
・脳は衝突回避を自動判断するアルゴリズム

②エンジン等主要機器の状態も、衛星を通じて陸の分析室に送信して異常の有無を常に把握(海上では波が邪魔してデータが常に不安定でハードルが陸に比べ格段に高い)。

③これらを運用するポイントは小型衛星の活用による海上での高速通信の実現で、陸上の4Gを上回る通信速度を目指す。

④この取り組みによって現在は不可能な、大洋上での陸からの遠隔操船への道が拓け、人員削減、ミス抑制、燃費向上が期待できる。

⑤船が収集するデータを活用して、天気予報会社への情報提供や優良な漁場探査等他業界との連携も視野にはいる。

かつて世界のトップにあった日本の海運は、現在規模の面で欧州や中国に遅れをとっているが、この取り組みで質の面での再浮上が期待出来るかも知れず、今後のウオッチが更に楽しみになってきた。