「独りぼっちになっても寂しがらない男」

私は深夜に起きていることなど滅多にない方なので全く知らなかったがNHKラジオで毎日放送されている「ラジオ深夜便」という番組がありAM放送では夜11時から翌朝5時迄トークや、各種リポート、歌、コンサート等で構成しているらしい。

何故知ったかと言うと図書館で雑誌コーナーにこのリスナー向け雑誌「ラジオ深夜便」があり、倍賞千恵子さんの記事が表紙に載っていたのでふと手に取ってしまった事がきっかけである。

夜通し放送され雑誌を発行するほどリスナーがいると言うことは、トラックの運転手さんのように夜通し働く人が多いことだと思っていたら、本のなかに眠れない夜を過ごす人と言う言葉が何回も出てきて「なる程現代的だな~」と思ってしまった。

たまたま倍賞千恵子さんのファンなので手にした雑誌だがその記事のなかで気持ちに入り込む言葉に出会った。

薩摩焼・沈寿官窯当主の15代沈寿官さんが父親の14代に、一人前の男とはどういう男かと聞いて【独りぼっちになっても寂しがらない男だ】と返されたことを話されている。
意味が深いが、特に年齢を重ねると何れ試される可能性が有るような気がして背筋が伸びる。

沈寿官窯は秀吉の朝鮮出兵時に島津氏が朝鮮より連れ帰った陶工から始まった伝統の窯で、作家司馬遼太郎さんは14代をモデルに「故郷忘じがたく候」を書き、私の本棚に今でもある。