御食国(みけつくに)のことなど

先日家族三人で淡路島を訪れたことをこのブログで書いた。その淡路島で一番目にしたのが「国生みの島」というキャッチフレーズで、これはよく知られているようにイザナギイザナミによる国生み神話で日本で一番最初に生まれた島は淡路島だとされることに由来する。

あと数ヶ所で目にしたのが「御食国」というフレーズで食べ物関連に付けられていた。淡路島は現在は兵庫県の一部になっているが、律令制のもとでは一国とされ淡路国(あわじのくに)であった。

律令制の税は租・庸・調(そ・よう・ちょう)が知られているがこの他にも各種の事例があり、主食の穀物以外の副食物を朝廷に納める義務が課せられたのが「御食国」といわれた国で、若狭国(わかさのくに・福井県)志摩国(しまのくに・三重県)淡路国の三ヶ国で何れも海産物が主であったと推定されている。

余談だが私が依然住んでいた八尾市の近く東大阪市に御厨(みくりや)という地名がありこれも朝廷の台所・厨(くりや)として食料を納める義務があった土地である。

御食国とされる三ヶ国は比較的都に近く何れも海に面した小さい領域で田畑の少ない国であり、この辺りに御食国が成立する事情があったと推定されている。

淡路国は海人(あま)として知られ全国各地にその地名が残る安曇氏(あずみし)が支配した島であり、立地上歴史上からも海に生きる人々の島であったと想像される。

もうひとつ余談だが、律令制では朝廷の台所を与る機関は天皇の日常の食事を差配する内膳司(ないぜんし)と饗宴等を担当する大膳職(だいぜんしき)とに分かれこれらのもとに諸国から食料が納められる。

ちなみに萩・毛利藩主の初期官職名は歴代大膳職の長官である大膳大夫(だいぜんだいぶ)を名乗る事が慣例になっている。

🔘淡路島イングランドの丘の植物、オーストラリア原産ブラシノキ、英語ではボトルブラッシュと呼ばれるらしいが花の姿がブラシそのもの。