8月1日の続き、
中世の西洋世界で宗教を背景に絶対の権力者であったキリスト教会に反逆した神聖ローマ帝国皇帝・フリードリッヒ二世は、俗世の最高権力者で十字軍も率いたが、聖地イエルサレムの回復と云う難事業をイスラム教徒の血を流さず外交でやり遂げた人物である。
彼はこの敵の血を流さなかったことでローマのカトリック教会から破門されるが、塩野さんは、フリードリッヒ二世はキリスト教に反逆したのではなく、中世のキリスト教会に反逆したのであると書かれている。
フリードリッヒがキリスト教徒の統治下に戻ったイエルサレムに入城したときの話。
彼は挨拶に訪れたイスラムの高官に尋ねた
「昨日も今日もイスラム教徒に祈りのときを告げるモアヅイン(アザーン?)を一度も耳にしなかったが、どうしたのか?」
高官はかしこまって答える
「スルタン(イスラム世界の最高権力者)から皇帝がいられる間はモアヅイン(アザーン?)の自粛を命ぜられていますので」
35歳の神聖ローマ帝国皇帝・フリードリッヒ二世は、笑い出しながら言ったという。
「それならばあなた方がヨーロッパを訪れたときに、教会の鐘を鳴らせなくなってしまうではないか」
これらは中世のヨーロッパ社会でで異常なまでの権力を握っていたキリスト教会を考えたときに、時代の先を行き輝いて聞こえる話だろう。
現在もパレスチナは世界のなかで最も危険な場所のひとつであり続けているが、その解決や融和に向けての糸口は先ずイスラム世界を理解することであり、その為にも参考になる歴史事実といえる気がする。
🔘ここ何日間午前中より午後の歩きが汗だくになる。木蔭沿いを探して歩くがそれでも汗が出る、午前2km、午後2kmのノルマは何とかクリアしている。
【汗じわり 見上げる雲に 夾竹桃】