映画「誰(た)が為に鐘が鳴る」

NHKBSプレミアムシネマで放送された映画「誰が為に鐘は鳴る」を録画して観終えた。
老人と海」などの作品があるノーベル文学賞作家 アーネスト・ヘミングウェイの原作で、アカデミー作品賞をはじめ主演男優賞にゲーリー・クーパー、主演女優賞がイングリット・バーグマンなど評価の高い映画である。

あまり日本では知られていない「スペイン内戦」が縦糸、背景になっている。
スペイン内戦は1936年当時の左派政府に対して反乱した軍主体の右派勢力が戦ったもので、これに左派にはソ連など、右派にはドイツイタリアなどの全体主義勢力が後押しして全土を巻き込み多くの犠牲を出し最終的に右派が勝利、その後のフランコ将軍による独裁へとつながる。
このフランコ独裁政治は私たちの若い頃の海外ニュースの定番だった。

この戦いは1939年からヨーロッパで始まる第二次大戦の前哨戦と言えるかもしれない。

この時左派側には反ファシズム(反全体主義)の立場から世界各国から義勇兵が参加、ゲーリー・クーパーが演じるのはその一人で米国人のロバート・ジョーダン、鉄道や橋梁の爆破を任務としている。

右派勢力の航空機が左派側の都市ゲルニカを無差別爆撃した様を描いたピカソの「ゲルニカ」はあまりにも有名である。

ゲーリー・クーパー演じるロバートと左派ゲリラの一員で心に傷のあるイングリット・バークマンが演じるマリアの悲恋が横糸になって物語が展開する。
この当時のイングリット・バークマンの美しさと演技には正直感動してしまう。

ネタバレにならないようこの辺で留めるがゲリラの協力で橋梁爆破を終えたロバートが脚を撃たれ逃げることが出来なくなり、一人残って敵を引き止め死を予感させてEndマークが出るが、この直前に画面いっぱいに大きな鐘が激しく鳴り渡る。

これが題名を表しているようで、本来ロバートへの弔いの鐘ながら、マリアをはじめ皆に等しく響き渡っていつまでも鳴り続ける。

記憶に残るよい映画を観させてもらった。

◎木立の手前、初めて見る植物