映画「老人と海」

NHKBSのプレミアムシネマで「老人と海」が放映され録画しておいたのだがこの梅雨に入り、出来る事が限られるなか、ゆっくり観させて貰うことになった。
老人と海」は言わずと知れたアメリカの国民的作家アーネスト・ヘミングウェイの作品で、時折教科書や入試問題にも使われ、ヘミングウェイはこの作品を代表作としてノーベル文学賞を受賞した。

ヘミングウェイの代表作の一つ「誰(た)がために鐘が鳴る」の映画は以前同じBSプレミアシネマで観て、スペイン内戦を背景に主演のゲーリー・クーパーイングリット・バーグマンの組み合わせがとても良かったのを記憶している。

ヘミングウェイカリブ海キューバにも永く住んだことで知られるが、このカリブ海が舞台の「老人と海」もキューバで書かれたと言われている。

始まるまでこの映画をどこかでみた様に思っていたが、始まってみると初めての映画であることがすぐに理解出来、そのまま映画の世界に没入してしまった。

最初のスクリーンで監督がジョン・スタージェスと表示された時点で、これは良い映画にぶち当たったと確信を持ってしまった。

ジョンスタージェス監督には思い入れがあり、今まで見た
・荒野の七人ー「七人の侍」の西部劇版
大脱走ードイツ軍捕虜収容所からの連合軍兵士の脱走
・鷲は舞い降りたードイツ軍の英首相チャーチル誘拐計画
何れも素晴らしい出来栄えでもう一度見たいものばかり。

主役の老人を演じるのがスペンサー・トレーシーで殆ど独演に近いその凡そのストーリーは以下の通り。

【カリブで年老いた漁師は運にも見放され、相棒の少年は老人になつき尊敬していたが、両親の言いつけで別の船に乗っている。
単独で漁に出た老人は見たこともない巨大カジキマグロに遭遇、老人は3日3晩マグロと死力を尽くして戦い抜き、遂に仕留める。この間、夢うつつの中で、若いときにチャンピオンと呼ばれた腕力勝負などの想い出が去来する。

大き過ぎて船に乗せる事が出来ないマグロを、船の横にくくりつけ帰途を急ぐが、そこをサメの群れに襲われマグロを食い尽くされる。

老人は梶や櫓を使って諦めずサメと格闘する。無駄だと分かっていても決して戦いを止めない。
港に帰り着いた時にはマグロは骨だけになっていたが、老人が戦い抜いた証は認められ、相棒の少年は両親の反対にも拘らず次の漁には自分が老人の船に乗ることを約束する。】

映画の中の老人は、孤独に耐え、寡黙で、決して諦めず、全力で戦い続ける、先が想像出来ても戦いを止めない、肉体は衰えているが意志の強さに衰えは無い。

ジョン・スタージェスとスペンサー・トレーシーのコンビはこの漁師の行動に人生に必要なものを投影させているのかも知れない。
ヘミングウェイがなぜアメリカで長く支持されるのか映画からも良く分かる。
無料でこんな映画を観ることが出来て申し訳ない気がしている。

◎もうアジサイの季節がやってきた。