毎日新聞のおわび記事

子供の頃から新聞は身近にあり、新聞を見ながら食事して叱られた時期もあった。

長い間新聞一紙が当たり前だったが、仕事に就いて時間が経つと日経新聞を読む必要に迫られ、日経新聞と普通紙一紙という状態になり、この頃から普通紙の、朝日、毎日、読売、産経各新聞の、同じことを扱う際の視点の違いが気になるようになって来た。

その為外出先や喫茶店などで新聞を手にする際は、家で購読していないものを選んで読むようにして、その違いを私なりに分析することを心がけた。

現在住んでいる施設の図書室では、日経と普通紙四紙、更に地方紙・神戸新聞が置いてあり、いわば新聞天国といって良い状況で、私は日課として経済関連記事が素晴らしい日経と、左右のバランスをとって毎日と産経の三紙を読み、時折時間があると神戸新聞や読売、朝日の様子を見ることにしている。

先日、周知の通りいわゆる「袴田事件」の再審で静岡地方裁判所から無罪の判決が言い渡された。

この事件のことに直接触れるつもりはないが、翌日の新聞各紙はこの判決内容を報じると共に警察検察の非を鳴らす記事に溢れかえっていた。

この中で毎日新聞は編集局長名で「人権侵害おわびします」という見出しで、袴田さんが捜査当局に逮捕された当時の自社の記事が当局発表に偏り、袴田さんの人権に配慮が足りなかったことを反省おわびする内容を掲載していた。

これを見て置かれている全紙を読み直して見たが、少なくとも同日にはこのような自社の過去の記事を反省するものは他になかった。

袴田さんが逮捕された時点の新聞各紙の読み直しは出来ないが、過去の社会状況を考えると多分毎日新聞と大同小異の扱いではなかったかと思われる。

私は今まで毎日新聞を定期購読したことはないし、その論調に多少違和感を覚えたこともあるが、今回の間髪を入れない編集局長のおわびは、他の新聞と比較しての姿勢がよくわかり深く記憶に残るような気がしている。

🔘今日の一句

 

露草や急く足停める瑠璃の色

 

🔘午後歩くことにしている坂道のそばに顔を出して来た露草