映画「戦場にかける橋」

NHKBSで放送された米映画「戦場にかける橋」を録画して観終わった。

1957年製作されてアカデミー作品賞をとった映画で、私は大阪の劇場で観て今回が多分2回目となるが全く古さを感じさせず、以前観たときに比べより背景や人間描写が理解出来た気がしている。

監督は「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」のデビット・リーンで、さすがに橋を列車もろとも実際に爆破するシーンなど、そのリアリティーは今から60年以上前の映画とは思えないほど迫力がある。

第二次大戦で、日本軍は開戦直後アジアに於ける英国の拠点であったシンガポールを攻略、更に英国が支配するインドを見据えて、タイを経由してビルマ(ミャンマー)を目指すためタイ・バンコクからビルマ・ラングーンに至る泰緬鉄道(たいめんてつどう)を連合軍の捕虜や現地人等も動員することで計画、その途中の川に敷設する橋の建設が映画の舞台である。

この橋を建設する責任者で日本軍捕虜収容所長大佐役が早川雪洲(はやかわせっしゅう・国際俳優のはしり)、自らの信念で建設に協力する英軍捕虜団長大佐をアレック・ギネス、収容所を脱走した後土地勘を買われ橋の爆破に活躍するのがウィリアム・ホールデン、特殊部隊爆破班の隊長役でジャック・ホーキンスなど多彩な俳優が出てくる。

ネタバレ防止からストーリーにはこれ以上触れない事にして、なぜ一回目に観たときより二回目の今回がより深く刺さったかを考えると、この間私がタイに駐在してその体験が今に活きていることがある。

①原題が「The Bridge on The River Kwai」である通り、クワイ川に掛かる木の橋は映画では爆破されるが、実際には現在も遺り観光資源のひとつになっていて、私がタイに駐在中バンコクから川沿いの崖っぷちを通る汽車に乗って見に行ったことがある。

カンチャナブリー県にある実際の橋は橋脚がコンクリートで橋自体は鉄製であり、近くに使役された連合軍捕虜多数の墓地があった。

②映画では英軍特殊部隊の爆破班にタイ人男女が道案内と荷物運搬役として同行し、その交流も描かれタイ語の会話が成されるが、その言葉がが20年以上経った今も理解できることに我ながら感動してしまった。

爆破班隊長「ノーン ティニー ダイマイ(寝るのはここで構わないか?)」

タイ村人「マイディー  アンタライマーク  ミージープン(よくない、日本人がいて大変危険だ)」

🔘当時英軍はインドを拠点にビルマを経て、日中戦争を戦う中国国民党に支援物資を送っていたが、日本軍はこれを遮断して英軍に圧力を加えるため、多大な犠牲者を出した悪名高いインパール作戦を行った。

泰緬鉄道はこの作戦に重要な役割を果たすことになるが、捕虜の虐待、現地人強制労働などで多大な犠牲者を出すと共に敗戦時日本側でも戦犯として罪に問われた人が出た。

🔘今日の一句

 

夜来雨花芽こじ開け辛夷咲く

 

🔘草むらで昨日見つけた小さなハコベ

島崎藤村千曲川旅情の歌を思い出す

小諸なる古城のほとり 
雲白く遊子(いうし)悲しむ
緑なす繁蔞(はこべ)は萌えず
若草も藉くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡邊
日に溶けて淡雪流る