映画「ダンケルク」

NHK BSプレミアムシネマで放送された2017年の蘭・仏・米・英4か国合作映画「ダンケルク」を録画再生して見終わった。

後で知ったのだがアカデミー賞編集賞、録音賞、音響編集賞を受賞しており、云わば映画制作の裏方の部分が評価されている。

(兵士達が座礁している民間船に隠れているところヘ、敵の銃弾が船腹を貫いて襲い来る音や映像の迫真性は素晴らしくアカデミー賞に納得)

ダンケルクはフランス北部ベルギーとの国境近く、英国・ドーバーの対岸に当たる町にある。第二次大戦初期1940年ナチス・ドイツはオランダ・ベルギー・ルクセンブルク3国に侵攻、その勢いのままフランスを席巻し英・仏を主力とする35~40万人の連合軍が海を前にしてこの地に包囲された。

史実では英国首相チャーチル指導部の決断による大量の民間船舶徴用などによる救出作戦や、ドイツ総統ヒトラーや軍上層部の作戦ミスによる戦車部隊の温存などにより、連合軍将兵約34万人が英国に脱出出来、一般にダンケルクの戦いと呼ばれる。

この映画では良く有りがちな上層部の動向などはほとんど出番がなく、徹頭徹尾、極限状態に置かれた連合軍兵士、孤立無援で奮闘する英国空軍パイロット、救出に徴用され奮闘する民間船従事者など、現場で苦闘する群像劇が平行して進む形になっている。

空軍パイロットや民間徴用者の英雄的な働きを描写する反面、恐怖に怯え早く救出されるように死亡した英軍兵士の軍服を剥いで身に付ける仏軍兵士や、傷病兵を運ぶように擬装したり、助かるために他人に犠牲を強要する姿など、戦場に於ける容赦ない人間模様が描かれる。

最初から森を映し出すのではなく、云わば木の一本一本を描いて森にたどり着こうとしているように見受けられる。

映画は救出された兵士が読み上げる、新聞に書かれた有名なチャーチルの演説の言葉で終わる。

「我々は諦めない最後まで戦う、いかなる犠牲を払おうとも、海辺で、大地で、街でも丘でも戦うだろう、断じて降伏しない」

この後フランスはドイツに降伏するが、イギリスはチャーチル首相のもと優勢なドイツ空軍との戦い・バトルオブブリテン(イギリス本土の戦い)を勝ち抜きドイツ軍の本土上陸を断念させる。

その後アメリカの参戦を得てノルマンディー上陸、西部戦線からドイツ領への反攻を果すことになる。

🔘今日の一句

 

上梓して新本めくる秋灯下

 

🔘施設介護棟の屋上庭園、ポーチュラカの仲間と思われる、