秋の訪れ

定期的に送られて来る金融機関の季刊雑誌、今号の巻頭随筆は「秋の訪れ」という題で、「八日目の蝉」などの作品で知られる作家・角田光代さんが寄稿されている。

ここ数年の異常な暑さのなか飼い猫の生態いろいろから、夏場全く入らないのに9月の半ば決まった時期になると、キャットタワーの一番上にあるハンモックに入って飼い猫が眠り始めることで「ああ秋だ」と思うこと。

また自分自身はふだん甘いものを全く食べないのに10月に入るころ、急にモンブランが食べたくなる、この唐突なモンブラン欲が自分にとっての「秋の訪れ」だと以下のようにまとめを書かれている。

 

月ではなくハンモックの猫を見上げ、月見団子ならぬモンブランを食べるのが、現在の私の秋である。

 

振り返ってみると私の場合の秋の訪れは、ゴルフに熱を入れていた頃はプレー途中の昼休みに着替えをする必要が無くなったときや、散歩の途中で田んぼの稲が僅かに穂を付け始めているのを見る時が、秋を感じていたような気がする。

2年前から引っ越しを機に俳句を始め、陽暦8月8日頃の立秋以降は、秋の季語を使うことに戸惑いつつもようやく慣れ始めたが、この頃の暑さのなか体感としては全く納得出来ていない。

古今和歌集の作者・藤原敏行の歌

 

秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる

 

時代は違っていても季節の移り変わりを感じる心持ちは変わりが無いことが良くわかる。

今現在体感的にはまだまだ明らかに夏を引きずっているが、視覚的な面で云うと、施設の庭で去年古株を刈り取った後、新しいパンパスグラスの穂が沢山出て来ていることや、未だ青い柿の実の大きさが5cmを超えて来ていることなどに秋が近付いていることを感じている。

またこれから朝歩きとラジオ体操の時に秋風を感じ、秋の草花が見られることを楽しみにしている。

🔘今日の一句

 

荷船曳く小舟とエール鳥渡る

 

🔘昨日の夜、ベランダから秋らしい月が東方向に見えた。