直近の色々な媒体を通じたニュースで、内閣府が試算した今後10年程度の経済財政の展望予測では、2025年度の日本の基礎的財政収支・プライマリーバランス(PB)がわずかながら黒字になるとのことが報じられている。
以前から政府は、財政健全化の取り組み目標のひとつとして2025年度のPB を黒字化することを掲げていて、今回の報道は、今までの予測が2025年度赤字であったところから一転して、取り敢えずの目標達成が視野に入っていることを示したものである。
基礎的財政収支とは、今までの借金分に相当する国債関係の費用を除き、その時点で必要な政策経費(社会保障や公共事業、防衛費など様々な行政サービスを提供する経費)をその時点の税収等でどれだけ賄えているかを示す指標である。
従ってPB の黒字化は、過去の借金分を考えると財政健全化とは云えないが、その改善取り組みのスタート台に立てたことを意味する。
ニュースを受けて内閣府のホームページを探して見ていくと、これらの展望が詳しく解説されていて、この予測は今後の生産性の上昇率を以下の三つのケースに分けて試算されている。
①近年の動向の平均値0. 5%程度
②成長に移行したと仮定した1.1%程度
③高成長が実現できたとした1.4%程度
最も現実的な①のケースで約8000億円の黒字化が見込める結果になっており一応説得力のあるものになっている。
然し政治的な理由や災害対応などで歳出が拡大したり、景気に不確実性が生じた場合などでは、あっという間に赤字化してしまうほどの予測黒字額でしかない。
また報道の中身も詳しく見ると、エコノミストの中にはこの試算自体に政治的な思惑が入っているとして、疑問を投げ掛ける向きもある。
何れにせよ未だ過去の借金分の重荷は全く変わらないが、ようやくスタート台に立てそうな位置に近づいているのは間違い無いようで、デフレの長いトンネルを抜け出す機会も近づいていることの裏返しともとれる。
私の個人的な思いでは、今の日本の大きな課題のひとつが、借金問題・財政健全化と捉えており、ここしばらくかなり悲観的な見方を持っていた。
まだまだ楽観的にはとてもなれそうにないが、この関連報道で少しばかり先行きに希望が見え始めたような気もしており、今後の推移を期待を持って見守りたいと思っている。
🔘今日の一句
夏雲は鯨の形(なり)して游ぎゆく