「私の人生を決めた本」

月刊誌・文藝春秋五月号の特集のひとつが「私の人生を決めた本」として掲載されており、副題として「読書家81人による史上最強のブックガイド」が付いている。

政治家・学者・芸能人・文筆家・経営者等々が自分の読書歴のなかで画期となった本について書いたもので、当然ながらそれぞれに個性溢れ面白い読み物になっている。

読んでいる途中でつい自分の読書について振り返ってしまい節目として記憶に残っていることを書いておくことにした。私の場合人生を決めたとまでは云えないような気もするが以下のような3点が思い浮かぶ。

①「源九郎義経(げんくろうよしつね)」

誰が書いたのか今では全くわからないが、子供向けの読み物で、小学校低学年のとき鶏の餌やりの手伝いをして初めて買って貰った本で、源という意味、九郎という意味などがわずかながらわかってきて本を読むことが楽しいと思えた最初の経験になった気がしている。

②「天兵童子(てんへいどうじ)」、「神州天馬侠(しんしゅうてんまきょう)」

何れも作家・吉川英治が子供向けに書いた歴史読み物で、天兵童子は秀吉の備中高松城攻めを背景にした物語。神州天馬侠は滅亡した武田勝頼の遺児が御家再興に向けて活躍する物語である。

両方共、小学校の前にあった町立図書館で借りて読んだもので自分のなかの歴史好き、本好きを決定付けたような気がする。とにかく読み耽ったという表現がピッタリの時期で、毎日学校帰りに図書館に寄るのが楽しみだった。

司馬遼太郎・「街道をゆく

大人になって仕事絡みの参考書も含めあらゆるジャンルの本を読んできた気がするが、やはり自己診断では自分自身の考え方やものの見方に最も影響を受けたのは司馬遼太郎さんの著作で、小説から評論エッセイまでほとんどものを読んできた。

そのなかで何れが最も好きかと云われても困るし、私の故郷・長州人を描いた「世に棲む日々」や「花神」もあるのだが、強いて挙げるとすると全43巻の大作「街道をゆく」かもしれない。

これは司馬さんが国内外を実際に旅し歩き、その土地の風土、歴史、人間などについて縦横無尽に語るもので知識、洞察力、人間理解が重ならないとあの深い内容は出てこない。

現代を旅していながら時空を越えて「司馬史観」なるものが見え隠れする。

バンコクや上海に赴任の折りには大量の文庫本を買い込み持参するなど、本を読むことの楽しみが私を助け続けてくれたような気がしている。

このブログを何とか続けていけるのも過去の本読みのお蔭かもしれない。

 

【脚絡め青条揚羽(あおすじあげは)風に耐え】

 

🔘健康公園の雑草ではないシリーズ、チガヤ