「鳥がしゃべる」と「Little Tern ・リトル ターン」

5月10日にこのブログで「四十雀(しじゅうから)がしゃべる」と題してNHKラジオの山番組「石丸謙二郎の山カフェ」で動物行動学者の鈴木俊貴さんが番組に出て、小鳥の四十雀が鳴き声で文章を作り言葉のようにして仲間とコミュニケーションを取っていると話されたことを書いた。

NHKTV番組・ワイルドライフで2021年9月に放送されたものの再放送版を一昨日録画して観たのが「長野 軽井沢 新発見! 言葉でつながる小鳥たち」と題するもので先の鈴木博士の軽井沢の森での研究を4年間密着取材したものであった。

天敵のヘビのダミーを使ったり、録音した声を使う、あるいは繰り返し映像を分析するなどして、鳴き声を言葉や文章に置き換え鳥同士で会話が成立していることを証明している。

言葉を通じたエサをめぐる知恵比べ、ヒナへの言語教育、さらに驚くのは種を超えた言語学習が観察されるということなどで、今後鳥以外の動物全般への研究成果の波及が見込まれそうに感じられとても興味がある。

実は奇しくもちょうど今、ブルック・ニューマン作 五木寛之訳「Little Tern・リトル ターン」集英社刊 という不思議な大人向けと思える絵本を読んでいる。

Ternとはアジサシ(鰺刺)という鳥の英語名らしいがこれにLittleを付けてコアジサシという鳥でカモメ科の飛行技術に優れている比較的小さい鳥らしい。

この鳥の自らの語りという形で書かれており、空を飛ぶことが得意なはずがある日 突然空を飛べなくなってしまい、地上で生活しなければならなくなる。

失意のなかで考え苦悩し、その要因が自身の内面・心のなかにあることを自覚する。
色々な自然現象を見つめ、さらに新たな友達のゴースト・クラブ(ゆうれいカニ)を得て飛ぶことを回復をしていく、いわば人間でいえば鬱(うつ)症状からの回復物語といっても良いかもしれない。

鳥が言葉や文章を話しているという事実をあらかじめ聞いているので、この大人の絵本が妙に親近感と説得力をもって迫ってくるような気がしてしまった。

科学的な知見と文学が心のなかで溶け合ったのかもしれない。

🔘このところ毎朝ベランダで体操すると上空でトンビが舞う。これは何か意味ある行動だろうか?

【体操を トンビ見下ろす 夏の朝】

🔘玄関の寄せ植え花壇