原口 泉著「日本人として知っておきたい琉球・沖縄史」PHP新書 を読み終えた。
用事で駅前へ出た折、帰りのバスの待ち時間が小1時間生じてしまい、さてどうしようか?
こういう場合私の行動パターンは大体2つに集約される。
①近くの喫茶店でコーヒーを、
②近くの本屋を探して新刊を見て廻る、
今回は出掛けにコーヒーを飲んで来たので必然的に②へ。
見て廻るのはとても楽しい時間なのだが、この場合の問題はついつい1冊買ってしまうことで、ある時期から後始末も考えて「本は借りることにする」方針に逆らってしまう。
今回もまさに方針に逆らってつい購入したのが冒頭の本でただ小さい新書なのが少しの救いなのかもしれない。
著者の専門は日本近世・近代史特に薩摩藩の歴史で、NHKの歴史番組でもよく見かける。大河ドラマ「西郷どん」の時代考証でも字幕に出ていた。
沖縄の近世以降の歴史については2019年4月9日のこのブログに「沖縄と本土の歴史」と題して沖縄に対して本土側が3つの大きな借りがあることを書いた。
・島津氏・薩摩藩の琉球進攻
・明治初期の琉球処分
・太平洋戦争末期の沖縄戦
この本は、日本全体の米軍基地の約70%が沖縄にある事実を踏まえ日本人として日本の一部である琉球・沖縄の歴史を知っておくために書かれたともいえるのだろう。
内容は旧石器時代から現代に至る通史ともいえるが、著者の専門が薩摩藩の研究にあるだけに、関ヶ原後の島津氏の琉球進攻に始まる江戸時代を通じた琉球国と薩摩藩の関係統治に特に詳しい。
過酷な支配の実態、中国・清(しん)との朝貢(ちょうこう)を含む広範囲な対外貿易、琉球王国内の統治機構、幕末の異国船来航への対応等々が詳しく説明されている。
今、NHK朝ドラで沖縄出身少女の物語「ちむどんどん」が放送されているが、途中沖縄の米軍占領から本土復帰時のドル円交換の混乱も描かれた。
この本によるとこの通貨交換は6日間で終らせる大プロジェクトであったらしい。
主人公の明るさに毎朝元気をもらっているが、それはともかく本土側が琉球・沖縄に借りているものの大きさを忘れてはならないと、ドラマと本の双方から云われているような気がしている。
🔘花の名前は分からないが目立たずに咲いている。