ベルベル人

私が初めてベルベル人という言葉を聞いたのはアメリカ映画「風とライオン」を大阪市内確か道頓堀にあった劇場で観た時で、私は封切り映画として観た記憶があるので1976年のことである。

余談ながらこの映画は私が観てきた映画のなかで10指には入ると思う映画で、北アフリカ・モロッコを舞台に、植民地化の波にのみこまれそうな20世紀初頭、ショーン・コネリー扮するベルベル人・リフ族々長が、キャンデス・バーゲン演じる米国婦人とその子供を誘拐、それによって起こるモロッコ、米、仏、独間の戦闘や族長と婦人との心の交流が描かれる。
風とライオンのパンフレット


それ以来、映画やTVの紀行番組などで数回「ベルベル人」を耳にしては興味を覚えていたが、先日借りた本を返しに行った近所の図書館でたまたま「ベルベル人 ー 歴史・思想・文明」ジャン・セルヴィエ(仏)著 私市正年/白谷望/野口舞子訳 白水社刊 を見つけて借り出した。

北アフリカ、すなわち現在のリビアチュニジアアルジェリア、モロッコに住むイスラム教を信じる人々はもともとアラブ人だと私はずっと思ってきたが、預言者ムハンマドの死後7世紀から始まったアラブ軍のスエズ地峡を越えての侵攻により広まったもので、元々はキリスト教や土着宗教の影響下にあったことが分かった。

この地域の最古の住民とされるベルベル人は、穀物栽培の文明を共有する、多様な集団、エジプト人エーゲ海人、フェニキア人、ポエニ人、ローマ人、やイラン高原からの遊牧民などの生き残りから構成され、地中海文明の継承者として表されている。

当然、民族国家の形成の歴史とフェニキア、ローマ、アラブ、トルコ、フランスといった侵入者に対し、山岳地帯に逃げ反乱を企てたり再結集したりした歴史が現在のベルベル人の居住地を形成したとされる。そういえば前記の映画「風とライオン」のリフ族の居住地も山岳地の設定であった。

大航海時代を経て北アフリカは、フランスの植民地になっていくが、フランスはこの地を治めるに当たりベルベル人とアラブ人との分断化政策をとり、20世紀後半まで北アフリカからの移民の大半はベルベル人で現在フランス在住の人口は150~200万人に達している。

私たち(もしくは私)はアフリカというとどうしても、砂漠とジャングルを想定してしまうが、北アフリカでは南側のサハラ砂漠と、北側に点在するアトラス山脈を始めとする山並みの連なりにより、田園地帯が広がっていることをこの本から教えられた。
その事が以下のような文章で端的に表現されている。

『人々は、トリポリ(リビア)からタンジェ(モロッコ)まで木陰の道を旅したのである』

世界にはまだまだ知らないことが沢山ある。

◎我が家の紅葉