「教養としての地政学入門」

出口治明著「教養としての地政学入門」日経BP社刊 を読み終えた。
著者はライフネット生命保険の創業者で現在立命館アジア太平洋大学の学長でその傍ら世界史、宗教、哲学などの分野で教養を切り口に色々な本を出されたり雑誌に寄稿されている。
著者の略歴には訪れた世界の都市は1200以上、読んだ本は一万冊以上とある。
f:id:kfujiiasa:20211201132920j:plain

最近のニュースで国際関係や外交問題が出てくると、「地政学上」や「地政学的に見ると」といった言葉が頻繁に出てくるようになってきたがこの地政学とはこの本の解説を借りるとドイツで生まれた
〈政治現象と地理的条件との関係を研究する学問〉
でもう少し分かりやすく云うと
〈ある国や国民は、地理的なことや隣国関係をも含めて、どのような環境に住んでいるのか。その場所で平和に生きるために、なすべきことは何か。どんな知恵が必要か。そのようなことを考える学問〉
もっとも簡単な解説は
〈国は引っ越し出来ない〉

なるほど、要は日本は太平洋の西の端、アジアの東に位置する細長い島国であるとの事実から出発するという事だろう。

内容が世界史、日本史、それも海と陸の双方から広範囲にわたるので量的に要約はできないが私が新しい知識や気付きとなった箇所を挙げると

海上交通の守護神「住吉大社」の研究から、朝鮮半島を根拠地とした集団が、北部九州、関門海峡、瀬戸内から大阪へ至る海の道を開いた。博多住吉神社、下関長府住吉神社、大阪住吉大社
建立時期もこの進路開拓の順であり各神社共にその土地の一の宮に定められ日本の王権とつながりがあったことを示す。

②あらゆる条件を考えると現在の日本が同盟を結べる相手は、アメリカ、中国、EUの3択しかないが現実的にはアメリカに絞られる。
日本が単独で行動する「日本ファースト」はあり得ない

③沖縄にある基地は分散させるべき。基地は必要である前提で日本国民が痛みを分かち合う姿勢で取り組む必要がある。

日露戦争の帰趨を決した日本海海戦の作戦を主導した秋山真之アメリカの海軍大学で海軍軍人・マハンの教えを受け日本海軍も「海軍力・シーパワーと海上交通線の確保」というマハンの命題の影響を受けたが、現在の中国では一帯一路政策を推進するなかそのマハンの著作が盛んに読まれ学ばれている。

等々が挙げられる。

◎空き地に咲くホトケノザ(名前は同級生に教わった)良く見るとおもしろい形をしている。
f:id:kfujiiasa:20211201132149j:plain
f:id:kfujiiasa:20211201132215j:plain
f:id:kfujiiasa:20211201132238j:plain