厚狭毛利家代官所日記⑰文久元年②どしゃく/としゃく

厚狭毛利家の民政記録・代官所日記を少しずつ読み進めているが、文久元年(1861)12月24日の記録に、半世紀以上前、私の子供の頃の微かな記憶にあるふるさとの言葉「どしゃく/としゃく」が出てきた。

※原文は
「河口宗市郞存内古谷茂平治組百生長十郎ト申者、過る廿一日夕七ツ時焼灰より火燃へ出藁どしゃくニ移り候得共、直様打消シ其外無難ニ候段届出候事」

※現代文に直すと
「庄屋・河口宗市郞の管内、畦頭(くろがしら・庄屋の下の村役人)・古谷茂平治の組の百姓・長十郎という者、21日の夕刻16時頃焼いた灰から火が出て藁(わら・稲を脱穀した残り)どしゃくへと燃え移ったがすぐさま打消しその他問題がなかったことを届け出た」

この時代火事を出すのは大罪であり、無難に終わったものの念の為に届けられたものと思われる。

藁どしゃくとは稲刈り脱穀が終わったあと、藁束を家畜のエサにしたり田んぼの肥料などに使うまで、田んぼの中に雨が染み込まないように組んで円筒状に積み上げて置くもので、最近ではコンバインを使って稲刈りから脱穀まで一気に行うので全く見られなくなった。

子供達には稲刈りの終わった田んぼは格好の遊び場で、この藁の積み上げた箇所はかくれんぼにも最適だったような想い出がある。

日記では「どしゃく」となっているが元々単独では「としゃく」と発音していた記憶があり、多分藁を前に置くと「藁どしゃく」になるのだろう。
他の地方ではどんな表現があるのか知りたいものだが、何れにせよ子供の頃の記憶と古記録が結び付くのはとても嬉しい。

【追記 】色々調べてみると若いときに買っておいた〈日本国語大辞典第七巻 小学舘版〉に「としゃく」の記述を見つけた。石見(島根県西部)山口県大分県辺りの方言で、他の地域では一般的には「稲むら」などと呼ぶようである。

◎昨日はホームコースで70歳以上が集まる「泉寿会」の例会、何時ものメンバー3人と88歳の大先輩との組み合わせ。大先輩のゴルフは飛ばしも短いアプローチも堅実で本当に勉強になった、こういうゴルファーになりたいものだ。

距離の短い設定の中、スコアーは41、47、トータル88
後半崩れたのが残念。

朝から秋晴れ金剛山も良く見える。

谷越えの難しい最終18番、しょっちゅう嵌まる罠があちこちにある。