映画「我が母の記」

井上靖原作の映画「我が母の記」がNHKBSプレミアムシネマで放映され録画して観ることになった。

井上靖氏の作品は中学生の頃から学校の図書室や町立図書館で出会い、ずいぶん読ませてもらった気がする。

私の中でその著作を大きく分けると
・「しろばんば」などの自伝的なもの、
・日本史に関連した「風林火山(ふうりんかざん)」「後白河院(ごしらかわいん)」のような作品、
・更には独自の領域を拓かれた感じがある「敦煌(とんこう)」「天平の甍(天平のいらか)」のように大陸に題材を求めたもの、
等があり幅広いテーマで書かれていることが振り返ってみてもよく分かる。

映画を録画した際、思い立って書棚の井上靖氏の本を探してみたところ、若いときに購入した懐かしい「後白河院」「淀どの日記」「星と祭」「おろしゃ国酔夢譚」「欅の木」「土の絵」「火の燃える海」の7冊がホコリと一緒に出てきた。

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井上靖氏は子供の頃家族と離れて血のつながらないおばあさんと暮らしたことがありこの事は自伝的小説の中で繰り返し出てくるが、この映画でも老いた母親との心理的な葛藤のかたちで物語の背景のひとつになっている。

母親役が樹木希林さん、本人役が役所広司さんで老いて痴呆の症状が出始めた母親との日常や騒動、過去の記憶や相互に対する想いから来る心の動きが描かれていく。

他に娘役で宮﨑あおいさんや本人の妹役でキムラ緑子さん、南果歩さん等芸達者な人たちが出演しているのだが、この映画の中では何故か樹木希林さんと役所広司さんが2人だけで格闘しているように見えてしまう。

娘役の宮﨑あおいさんが、小説に自分の事が書かれていることに父である役所広司さんに文句を言う場面があったが、小説家もその家族もなかなか楽な商売ではない本音が出たような気がして印象に残った。

◎近くの図書館脇、同級生に教えてもらったのだが百日草という名前らしい。色々な種類がある。
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