和歌山市水道橋の崩落で思ったこと。

ニュースで和歌山市紀ノ川に架かる水道管を渡す橋が崩落した映像を見て愕然とした。

この事故で多数の住人が断水の影響を受けられているとの事で早い復旧を願っている。

テレビ画面で見た、水道管のつり材が何ヵ所かで腐食で破断している様子は、これが直接的原因かどうかはともかく、この状態が昨年のGoogleストリートビューに写っているとのニュースもありこの状態で長い間放置されていたことに驚く。

一応点検はされていたとのことなのでその点検の方法に問題があったと思える。これを発見出来ないのであれば水道管自体の腐食劣化があったとしても発見できないであろう事は容易に想像がつく。

構造物の腐食は、応力の掛かり具合、材料材質、表面状態、塗装の状態、異種金属の組み合わせ、環境条件等で全く進行度合いが異なり、インフラや安全に関わるものは不断の点検が不可欠である。

市では効率化もあり浄水場が紀ノ川の南に集約され北部への水道水供給はこの水道橋のみに頼っていたとのことだが、事故が起きた場合の想定ををどの様に考えられていたか気になるところがある。

私が愕然とした訳は、この問題は今の日本全体が置かれている状況を代表しているような事故ではないかと思ったからなのだが。

・日本の至るところで高度成長期に作られたインフラの老朽化が進んでいる。

・これらの更新や不具合箇所の点検修理に必要な予算は低成長、人口減少の中で限られてくる。

・ものを作ったり点検したりすることの基礎的な技術はITなどの技術に比べ若い人への伝承が遅れている。

・予算不足から当然効率化が優先され予防策、安全策、保全策までなかなか手が回らない。

大きな事故には直接的な原因とバックグラウンドになる原因の両方がある。今回の教訓は最低でも日本の水道事業全般について生かして行く必要がある。

日本の水道事業は豊富な水資源を背景に衛生面や価格面等信頼性に優れ世界の優等生と言えるものだが、国力と共に大きな曲がり角にあるのかもしれない。

◎歩きの途中、狭い路地に顔を出す紫の花
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