古くから数ある西部劇映画の中でベストテンを選んだり、名作を選んだりする催しで、いつも題名が出てくる常連がジョン・フォード監督ジョン・ウエイン主演の「駅馬車」で、題名だけは先行して記憶に刻まれているが、観るのは今回NHKBSのプレミアムシネマで放映分を録画したのが初めてである。
1939年の作品らしいが先ず驚くのは当たり前かも知れないがジョン・ウエインの若いこと。
ジョン・ウエインのイメージはデカイオッサンオジサンというものだったが、ジョン・フォード監督から抜擢されたという当時の青年姿は古い映画の中で非常に新鮮に見えた。
ストーリーを書くつもりはないが、アパッチ族のジェロニモが武装蜂起した状況で、アリゾナからニューメキシコへと走る駅馬車の乗客8人の人間模様や戦いが描かれ、西部劇の面白さ、美しさ、迫力が凝縮されて出てくる
・駅馬車が疾走する背景は西部劇に良く出てくるユタ州にあるモニュメント・バレーと呼ばれる巨大な岩山が屹立(きつりつ)する場所でこれが映画に圧倒的な迫力を加えている。
・ジョン・ウエインのリンゴーキッドと心根の優しい娼婦との恋。
・乗客の出産と赤ん坊の無事誕生、それに手を尽くす呑んだくれの医者。
・アパッチの襲撃で、駅馬車が疾走しながらの命懸けの銃撃戦、絶体絶命の窮地で騎兵隊の救援。
・駅馬車が目的地に着いた後のリンゴーキッドと無法者3名との決闘
・リンゴ―キッドの罪を見逃し、娼婦との恋を成就させてやる保安官と呑んだくれの医者の友情
この映画が長い間西部劇の名作と言われ続けている訳が、このひとつひとつのエピソードやシーンに有ることが良く理解できた気がしている。
◎名前は分からないが歩きの道端で秋らしく実と花を付けている。