つながらない権利

日経新聞の「法税務」紙面に載った〈広がる「つながらない権利」〉という見出しの記事を読んで、現役時代のアレコレに否応無く引き戻されると共に、なるほどここまで来たかという複雑な感情を覚えてしまった。

記事の要旨は新型コロナウイルス禍の中、テレワークが定着して私生活との境界が曖昧になり長時間労働のリスクなどが一層高まり、就業時間外の業務連絡を受けない「つながらない権利」が世界的に注目されているとのことで、柔軟な働き方と働き手の健康を両立させるルール作りを求めている。

☆「つながらない権利」を巡る各国の動きの例は
・フランス 2017年主要国で初めて労働法に同権利を規定
・カナダ 2020、10月政府の諮問委員会発足、法制化議論開始
・メキシコ 2021、1月テレワーク法で同権利の尊重を使用者の義務に
・日本 2021、3月厚労省がテレワークガイドライン長時間労働対策として時間外のメール送付の自粛を例示
・英国 2021、7月労働党が法制化などを目指す政策発表
☆NTTによる就業時間外の業務連絡(電話・メール)についての日本国内アンケート調査結果
・対応したくないが対応はやむを得ない ー46.7%
・就業時間外でも対応したいー18.6%
・連絡があっても対応しないー15.2%
・連絡を受信しないー8.4%


今の日本を的確に表しているようなアンケート数字のように思うが、企業によっては独自の取り組みに既に動いているとのことである。
私も振り返って見るとこの事について発信する側と受信する側双方を経験した共に苦い想い出がよみがえってくる。

・発信側ーー海外で生産工場を担当した際、工場の操業が止まることは何としても避けなければならず、部品供給、インフラ不具合等の対応は時間・時刻を完全に無視して連絡を取っていた。
・受信側ーー連休など長期休暇の際は製品ユーザーからの問い合わせ窓口も閉めており、緊急の場合は品質管理責任者が対応することになっており、それに当たると休暇という感じは全く消し飛んでしまう事があった。

「つながらない権利」の問題は自分の経験で振り返ってみても、個人と組織の間でどう折り合いをつけるか非常に微妙な問題をはらんでいることが良く分かる。これからも色々な曲折が有るのだろう。

◎畑に咲いているピーマンの小さな花
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