「よくわかる一神教」

私は墓参りや仏壇の前で手を合わせることは自然にするが、振り返って見ると個人的には無信心無宗教の気がする。
然し歴史が好きなので日本史、各国史等の本を読んできたが、その中で宗教の持つ重さにはそのよい面、悪い面も含めて考えさせられる事が多い。

佐藤賢一著「よくわかる一神教集英社刊 を読み終えた。
副題が「ユダヤ教キリスト教イスラム教から世界史をみる」となっているように、その成り立ちからの歴史を古代、中世、近代・現代の3部に別けてひもといてゆく。
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世界の多くの宗教は多神教だが、一神教キリスト教が世界全人口の32.9%イスラム教が23.6%を占めこの両者で世界人口の半数以上の信者を有している。
ユダヤ教はほとんどの場合ユダヤ人が信じるいわば民族宗教だが、キリスト教イスラム教は世界宗教といえる。

これらの三つの一神教はよく知られているように何れも中近東世界に生まれ、ユダヤ教聖典旧約聖書新約聖書と合わせたキリスト教聖典でありイエス・キリストユダヤ人と考えられる。

またイスラム教をはじめた預言者ムハンマドに神の啓示を与えたのはキリストの聖母マリアに受胎告知した同じ天使(ガブリエル、ジブリール)と言われ、聖典コーランには預言者の一人としてイエス・キリストの名前がある。

そんな近しいと思える宗教同士がなぜ闘い続けるのか、ここに書き記すにはいささか字数が足りないが、昨今ニュースで話題のイスラム主義・ターリバーン(タリバン)について、この本の現代章に書かれてある「ターリバーンとは何か」を自分自身の理解のため整理要約してみた。

・ターリバーンはターリブの複数系で求道者や神学生を意味する。
アフガニスタンでは20世紀初頭までイギリスの保護領であったが1919年王制で独立、その後政権は安定せずクーデターが相次ぐ。
・1978年親ソ連社会主義政権成立、世俗主義を進める中で、これに対抗して同年以降イスラム主義勢力・ムジャーヒデイーン(イスラム戦士)が蜂起して内乱状態に。
・同年末親ソ連勢力支援のためソ連軍が軍事介入、イスラム各国の義勇兵がムジャーヒデイーン側に参戦、更に米国が反ソ連の立場からパキスタンを通じこれに武器供与。
・1989年ソ連軍撤退、その後アフガニスタン国内は内戦状態に。
・この内戦を勝ち抜いたのがムジャーヒデイーン中のターリバーンで1996年首都カブール制圧政権樹立。
・2001年アメリ同時多発テロの犯人集団アルカーイダがアフガニスタンに基地を置いている事から引き渡しを要求するもターリバーン政権は拒否。
・2001年末、米英軍がアフガニスタンにアルカーイダ掃討の為進駐、新政権樹立。
・20021年米軍撤退ターリバーンが首都カブール再制圧。

◎世界の動向を見るとき、つい親しみのある欧米キリスト教世界の見方を是としてしまいがちになるが、やはり客観的に自分の頭で片寄りなく考えてみることの大切さを今一度学んだ気がする。

◎これはコキアという名前らしい。秋になると赤く色ずくらしいのでまた見てみよう。
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