森鴎外「舞姫」

山口県在住の同級生からのLINEで、自宅から車で40分で行ける津和野生まれの森鷗外の小説「舞姫」にチャレンジしたとの連絡を頂いた。
明治に生きた文豪森鷗外についてはこのブログ2020、6、19に「岡山みやげ高瀬舟ようかん」と題してその作品「高瀬舟」等に触れたことがある。

森鷗外は官に在っては陸軍軍医総監(軍医のトップ)迄勤め、また小説家としても名を遺し、人もうらやむ人生の成功をおさめたが、死に臨んで「余ハ石見(いわみ・生地津和野を含む島根県西部の旧国名)人 森林太郎(本名)トシテ死セント欲ス」と書いたが、その心境になぜかとても惹かれるものがある。

森鴎外の小説では、「阿部一族」「堺事件」「山椒大夫」などを中学生の頃から読んだ気がするが「舞姫」はまだ読んだことがなく良い機会と思い書棚から若いときに購入した森鷗外集を探しだし読み終えた。

読後感の第一はとにかく重い、重すぎる!

ひとつにはこの作品が明治23年(1890)のもので文語体で書かれてあり、口語体に親しんだものからすると読むスピードをゆっくりせざるを得ないところにある。
幸い最近厚狭毛利家の日記などを読んでおり比較的抵抗は少ない気がする。

もうひとつがその内容で、鷗外の陸軍軍医としてのドイツ・ベルリン留学中の経験が反映されているのだろうが、主人公がベルリンで劇場の踊り子(舞姫)と知り合って恋に落ち、本国サイドから咎められ見捨てられるが、親友の助けで有力者に認められ帰国する事になる。

その結果 、妊娠していた舞姫・エリスは発狂してしまう。
最後に主人公は親友に感謝しつつ、少しの憎しみの心が生じていることを表わして物語が終わる。

ドイツ留学から帰国直後、鷗外を訪ねてドイツ人女性が来日、滞在約1ヶ月で離日したことは鷗外のエピソードとして広く知られており、舞姫のモデルとする説もある。

ただの石見人として死にたいと書いた心境の深いところは誰にも分からないが、その背景のひとつはこの「舞姫」にまつわる事であったのかも知れない。

◎これはダリアの仲間のように思える。
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