TOTO(トートー)とTQC(テイキュウシー)

日本経済新聞の最終面・文化欄には「私の履歴書」という、各界の著名人が自らの来し方を数十回にわたって振り返るコーナーがあり、前回は俳優の吉行和子さんで、連続テレビ小説のモデルにもなった母親の吉行あぐりさんや兄で作家の吉行淳之介さんの話も交え面白く読ませて貰った。

現在の連載は、住宅設備やリフォームを手がけるTOTO(株)の元社長・木瀬輝雄氏で現在16回目である。
TOTOは云わずと知れた洗浄トイレ・ウオシュレットの会社で、私は海外のホテルでこれを初めて使い、これはきっと売れると思い帰国してTOTOの株を買い、我が家のトイレにも導入した思い出がある。

昨日の記事ではTOTOのホーロー浴槽の品質問題から始まりTQC・「全社的品質管理」の導入活動までが取り上げられており、私にとっても現役時代を思い出す懐かしい内容であった。

TQC活動は日本企業の成長期1980年代終わりごろから2000年頃くらいまで各企業が競って導入したもので、
全員参加の小集団活動(QCサークル)、統計的品質管理、目標管理、といったものをPDCAのサイクルを廻しながら全社レベルで経営活動として取り組み、優秀企業は最高の評価であるデミング賞の受賞を目標にしていた。

私も品質管理の仕事に携わっていた当時、TQCの優秀企業として北九州市にあるTOTOの名前を耳にしていた。
ひょっとするとその当時はまだ社名変更前の「東洋陶器」だったかもしれないが、確かデミング賞も受賞された様な記憶がある。

高度成長期が終わると共に、TQCは影をひそめ目標管理だけは形を変えながら生き残ったような気がしている。

終戦後初めて米国から品質管理の思想と手法が導入され、それをベースに日本独自の品質管理手法としてTQCが発展したが、トヨタで有名になったジャストインタイム・カンバン方式などと共に成長期の日本の「もの造り」の思想的なバックボーンのひとつだった。

下降気味の日本の「もの造り」がいつどの様な形で上昇に転じるのか、期待をもって今日も日経新聞を読んでいる。

◎近所で唯一の大きな田んぼが今朝見ると田植えが終わっている。ふるさと厚狭鴨庄の辺りも田植えが済んだのだろうか。
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