風力発電、日本は部材に活路

再生可能エネルギーのなかで、私は日本の置かれている条件などから考えて以前から風力発電に注目している。いま高速道路を走ると山の稜線上に大型の風車が回っているのを目にするようになったが、中には故障で停止しているのもある。

海に囲まれている日本は、安定して大規模な発電をするなら陸地より洋上風力が必須と思われるが、メンテナンスが難しいことから考えると、装置や設備の信頼性向上が不可欠な課題といえる。

風力発電設備には三菱重工なども参入していたが、日本市場が立ち遅れていることもあり、米国・GE(ゼネラルエレクトリック)など欧米勢や中国企業に完全に水を開けられ歯がゆい状態になっている。

そんな中、日経新聞の企業面に「風力、日本は部材に活路」の見出しで日本企業が世界の完成品メーカーに技術面で強みを発揮できる部材供給で活路を見いだしつつあることを伝えている。

日本精工ーー大型軸受け
東レーー羽根(ブレード)向け炭素繊維
・三井海洋開発ーー次世代洋上浮体システム
JFEスチールーー洋上風力に使う厚鋼板
等である。

風力発電装置は羽根の直径が70~80m、高さが200m近く、軸受けは直径が最大1m近くもあり、効率化で今後更に大型化が予測される。

この場合に装置が受ける応力は想像を絶するものがあり、特に一時的に加わる応力ではなく、繰り返しの風圧から来るいわゆる疲労現象で、特別な強度対策が必要である。

例えば軸受けが1m近くになることから分かるように、回転部分の潤滑性能は、高荷重と厳しい使用環境下、ベアリングの高い精度と油脂の供給方法など高い技術力が要求される。

このような過酷な条件下で連続運転される装置では、部材の精度を始めとする品質信頼性が勝負であり、技術力がその決め手になる。
ものつくりの質で勝負できる日系企業の生きる道かもしれない。

いま電機産業では完成品は中・韓企業に追い越されてしまったが、部品メーカーはその固有の技術力で充分存在感を示している。
将来拡大が見込める風力発電でも日系企業には部材で頑張ってもらいたい。

それはそうとして私は近い将来、日本の沿岸をぐるりと取り囲む大型風車の大行列を想像しているのだが。

◎最近いろいろな場所で見かけるこれは、図鑑を見るとノゲシのようだ。
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